物流

【連載第9回】 納品Tokopediaの未来はGo-Jekとの提携にかかっているかもしれない

イーコマースとロジスティクスは切っても切り離せません。そして、東南アジアのロジスティクスを語る時に切っても切り離せないのが「バイク」です。庶民の足としても活躍し、さらに物まで運びます。世界最悪の渋滞都市でもあるジャカルタでもバイクは大活躍です。
そのような中、最近急激に利用者を増やしているのがバイクタクシー配車アプリの「ゴジェック(Go-Jek)です。移動手段としての利用がメインですが、最近では強力な配送手段としても注目を集めています。

今回はソフトバンクが投資したことでも注目されるマーケットプレイス、トコペディア(Tokopedia)とゴジェックの連携に関する記事をご紹介します。

インドネシアで人気のイーコマースマーケットプレイスであるトコペディア(Tokopedia)にとって、この一年はむしろ静かな一年だったのかもしれない。ソフトバンク(SoftBank)とセコイア(Sequoia)から1億USドルの記録的な投資をつかみ取るという、昨年の10月の大波があったにも関わらず、この洞察は外れてはいないだろう。

偶然にもインドネシアの独立記念日のことである。このスタートアップカンパニーは6回目のバースデーを迎えた。バースデーにはメディア、パートナー企業、出店者たちが夜の食事と談笑のために招待された。

大胆さに欠ける動き

メディアイベントは簡潔で、驚くような発表は無かった。トコペディアはいくつかの数値実績を発表した。例えば、30万のアクティブな出店者、600万/月のトランザクション、10~20%の月次成長率、などだ。この成長は確かに驚きに値する。しかし、30万の出店者数はイーコマースの巨人であり数百万の出店者を持つ中国のタオバオ(Taobao)と比べればまだまだ小魚のようなものだ。

イベントでは「機会を創造しよう(create your opportunity)」のモットーとともにあらたなメディアキャンペーンも紹介された。2人の創業者はプレス関係者に対して放映予定のテレビコマーシャルをプレゼンテーションした。

フリップカート(Flipkart)が最近決断した、年末までにアプリのみの展開に絞り込む(http://www.ft.com/cms/s/0/b8deaa7c-2549-11e5-9c4e-a775d2b173ca.html#axzz3lJ9xA5AT)、といったような大胆な動きはない。
また、スナップディール(Snapdeal)の進化の鍵(http://yourstory.com/2015/06/snapdeal-acquisition-journey/)のような戦略的な買収もない。

絞り込み

6歳になるトコペディアはまだ始まったばかりであるが、タフな状況に置かれている。このマーケットプレイスは数百万のインドネシア中小事業者を出店者として取り込むことを狙っている。このすさまじい量の出店者は高い成長可能性を生み出す。しかし、この群島国家の小規模小売り業者はソーシャルメディアを使って直接販売することに慣れている。実際、トコペディアの競合であるブカラパック(Bukalapak)のコミュニケーションヘッドであるYusi Obonはメディアに対して「我々の本当の意味での競合はFacebook、TwitterやBBMだ」と述べている。

シンガポールのイーコマースロジスティクス企業であるSP eCommerceの2014年レポートによれば、インドネシアで生じたイーコマースのうち、20%のみがイーコマースサイトで取引されており、残りはソーシャルメディアやモバイルメッセンジャー、クラシファイドリスティングやオンラインフォーラムで取引されている。

一方で、トコペディアやブカラパックが当てにしているCtoCモデルは、即日配送やキャッシュオンデリバリーのような支払オプションを提供するオペレーションが充実したイーコマース企業の増加により苦しめられている(これらのサービスをトコペディアは提供していない)。

セコイア効果

しかしCEOWilliam Tanuwijayaはトコペディアはそれらのスタートアップ企業とは異なる、と述べている。「我々はイーコマース企業ではないし、ロジスティクスの分野に踏み込んでいくつもりもない」、とTanuwijayaはイベントで説明した。それではトコペディアが次に目指すところは何なのか?一つの方向性が過去たどった道の中で育っている。「トコペディアは現在ゴジェック(Go-Jek)とのデリバリー連携を試行している」とTanuwijayaは明かした。

すでに多くのプレイヤーが資本面でゴジェックとのパートナーシップを結んでいるので、この情報自体は面白味のある話ではない。ゴジェックは配送サービスとしての能力を発展させてきた。しかし、さらに深堀して考えると面白い発見がある。第一に、ゴジェックは現在インドネシア全体に向けて拡大しており、トコペディアのジャカルタ外での取引を可能にするだろう。

第二に、ゴジェックはラザダ(Lazada)のデリバリーパートナーでもあった。この事実はインドネシア全体がイーペイメントの普及を待つ間に、トコペディアがキャッシュオンデリバリーのパーティーに参画する道筋となるであろうか?

第三に、ゴジェックは最近トラックやバンを用いたサービスの拡張を計画している。想像してみてほしい、23年後の流通網がどのようになっているかを。ゴジェックの創業者であるNadiem Makarimがコンセプトとして名付けた「ゴートラック(Go-Truck)」がトコペディアのためにオンデマンドの配送部隊を形成しているかもしれない。

トコペディアの投資家でもあるセコイアキャピタルはこの2つのスタートアップが長期的なパートナーシップを結ぶための調整役を担うかもしれない。インドネシアの懇親会などでささやかれるのは、セコイアキャピタルはゴジェックにも投資している、ということだがセコイアキャピタルは本件について何のコメントもしていないし、公式声明も発表していない。

彼らのDNAを鑑みると、トコペディアとゴジェックは完全にマッチする。両社とも、インドネシアの特異性を熟知した地元の創業者により設立されている。彼らはイーコマースやロジスティクスがメインストリームの前段階に至るよりもさらに前から、数年に渡り活動してきた。彼らは競合ではないし、両社とも評価に値する特徴を持っている。トコペディアはベンダーやバイヤーの基礎を築くことができる。一方でゴジェックはオンデマンドサービスや輸送を提供することができる。これは大変興味深い提携の始まりであろう。

【あとがき】

イーコマースを支える周辺サービスの発展にはどうしても時間が必要です。例えば物流を支える道路の整備は1~2年で終わる話ではありません。一方でインターネットサービスの普及速度はすさまじく早く、イーコマースもアジア各国で広まりつつあります。発展途上国ではどうしてもこの速度にギャップが生まれますが、先進国とは異なる形でそのギャップをカバーするサービスが生まれてくるのだと思います。ゴジェックはその代表的なサービスではないでしょうか。ジャカルタではすでに市が公共交通機関との連携を検討しており、一つのインフラとしての側面を見せ始めてきました。海外からの配送も、もしかすると連携できるような仕組みが生まれてくるかもしれませんね。