インタビュー

【連載第7回】大西理の「通販/EC業界、いま話したい人」 【FLANDRE 末廣勇太さん Part2】エモーショナルな部分をくすぐるサイト設計

大西理の対談シリーズ 第三回のゲストは、株式会社フランドル 営業本部 メディアコマースチーム部長の末廣勇太さん。Part1では、「FLANDREに息づく接客マインド」についてお話しいただきました。Part2では、「アパレルECにおいて求められる販売スキル」の話題を中心にお送りします。

大西さん)

人財に関しても、内部スタッフの活用や育成に積極的に取り組まれているそうですね。

末廣さん)

EC部門は生え抜きのメンバーばかり。前回 お話したような接客マインドを残していくために、現場経験を積んだ販売スタッフを登用しています。素材や流行、洋服の知識は、一朝一夕で身に付くものではありません。ECにおいても、その販売スキルは何よりも強みになります。AIでも取って代われないのが、販売スキルだと思っています。

大西さん)

「似合っているかどうか」という判断は、人間の感情によるところが大きいと思います。心の機微までAIに実装するとなると、それは難しい。そうなるとむしろ、人の販売スキルを活かさない手はないですよね。

ただ、テクノロジーと向き合いながらPDCAを回していけば、EC運営を続ける中でもそのスキルを学ぶことはできると思います。例えば、仮説に基づいたレコメンドによってコンバージョンに至ったかどうかをログ解析する。その中に、ECで買い物をするお客様の思考が詰まっていると考えています。コンバージョンに至ったユーザーの動きは、滞在時間や閲覧ページ数において違いが明らかに見られますからね。

末廣さん)

お客様の反応を観察しながら、店舗では接客を組み立てていきますが、それはECでも同様ですよね。まずは、渾身の1品で最高の1ページを作ってみて、そこで売れたときの感情を味わうこと。一度成功体験を得られれば、売れなかったときの原因・対策を追究するようになります。そういう経験を積み重ねることによって、スキルが身に付いていくのだと思いますね。

大西さん)

それはとてもよく分かります。専門家のアドバイスが必要になるときもあるでしょう。でも、まずはわからないことがあれば調べる。少なくとも、私はそうしてきました。

末廣さん)

一方でECに売場が変わったわけですから、もちろん同じ方法で通用するはずがない。店舗とは違うアプローチも求められますよね。

大西さん)

そうですね。商売の本質は変わらないまでも顧客動態データの分析や販促施策など、オンラインではどんな仕組みが必要なのかを考えねばなりません。ECではサイトを分析することで、より有効なプロモーション施策を立てることができる。でも、日々の仕事に追われて、大事なことが後回しにされがちです。結局、人的資源が効率的に配置でき、うまく回れば、売り上げも伸びると思いますね。

末廣さん)

その通りだと思います。人数が増えれば、一つの商品に対するこだわりや分析により力を注ぐことができます。例えば、各ブランドで写真撮影に1名、文章を書くのに1名、動画撮影に1名という体制が実現できれば、1品に対する販売力が断然違ってくるんですけどね。

大西さん)

商品ページも、単純にスペックと写真数点を掲載しているだけでは、お客様にとっての便益は何か、伝わりにくいですからね。お客様の共感を呼ぶためのサイトづくりというのが大切になるかと思います。

例えば、同じ値段のバケツを売るにしても、伝え方次第で売れ方は変わってくると思います。「このバケツは持ちやすく、30リットル満杯に入れても重みを感じない魔法のバケツです」などと言えば、単純にバケツを売るよりも絶対に売れると思います。

末廣さん)

相手が何を求めているかを伝えるのですね。当社では最近、衣類についている「下げ札」の写真をWEBサイトにも掲載するようになりましたね。下げ札は、素材の説明の札で、商品の良さを伝える工夫の一つです。店舗と同じようにWEB上でも伝えるためにサムネイル写真の一つに追加したのです。でも、発案したスタッフが自発的にはじめたことなので、独りでできる品番は限られる。大人数で臨めば10分で終わることなのですが、そういう時間も後回しにされてしまうんですよね。

大西さん)

そういう着眼点や実行力が、ECの売上げをつくり上げていきますからね。工夫とチャレンジ精神は持ってほしいものです。

末廣さん)

商品から得られる利益について、お客様と一緒に考えていくということもあり得るのかもしれませんね。

大西さん)

あり得ると思います。雑誌などでは、商品カテゴリーによって使用するキャッチコピーや表現の王道みたいなものがありますよね。雑誌として読み進めるだけならそれでいいのかもしれませんが、いざ買おうという段階になると、響く言葉は全然違う可能性もあります。ECのような売場に並んだときに響く言葉、つまり商品のプレゼン力を、もっと研究しないといけない。

嗜好品の購入ボタンは、自動販売機とは少し違って、エモーショナルな動機でクリックされるわけですから、そこに訴えかけなければなりません。細かな試行錯誤の積み重ねが大事ですよね。

末廣さん)

それもコミュニティマーケティングの手法になるのだと思いますが、そのはしりとして2010年春に発足したのが、「FLANDRE GIRLS」だったわけですよ。

FLANDRE ONLINE STORE会員様を対象に、応募いただいた中から20名ぐらいに絞って、展示会にご招待したのがきっかけでした。 試着や撮影も可能で、予想以上の大反響。初対面の方たちばかりでしたが、「FLANDREが好き」という共通点があるので、帰る頃にはお互いお友達になっていましたね。

そこで、インフルエンサーの方を巻き込んで「FLANDRE GIRLS」を組織化することにしました。「FLANDRE GIRLS会」にはファッション感度の高く、発信力のある女性が集まります。

モデルやモニターとしてブログをアップしてもらうことによって、SEO効果により流入倍増に成功。インターネット上に「FLANDRE」というキーワードが溢れることになりました。

大西さん)

「FLANDRE GIRLS」は今で言う、アンバサダー的な立ち位置ということになりますよね。デリケートな対応が求められると同時に、公平にしなければならない分、ご苦労も多かったのではないですか。

末廣さん)

そうですね。その中にロイヤルカスタマーがいらっしゃっても、「FLANDRE GIRLS」の一員で、特別扱いはできないですからね。全ての方に対して細やかな気配りをしたり、しっかりとコミュニケーションを取ることが大変でした。

また、他の施策だと、元日のクローズ優待セールなども実施しています。購入金額に応じてお客様を細かくセグメント分けし、より多くご利用いただいているお客様から順番にご案内。手書きのご案内ハガキもお送りし、お店ではとっておきのおもてなしでお迎えしました。

その甲斐あって、前年比180%という成果を上げることができましたが、毎回同じことを繰り返していては勢いがなくなっていくだけなので、次のアイデアを考え出さなければなりません。

大西さん)

ロイヤルカスタマーとの関係性を深めることが重要課題です。やっぱり「手書き」というひと手間などが、web時代にも大事になってくるのではないでしょうか。テクノロジーが後押しするものもあるでしょうけど、最終的な受け手は人間になるわけですからね。それを実装、体験してもらうための方法を考え続けていくことだと思います。

今回、末廣さんのお話を伺って、FLANDRE様の取り組みとアイデアに驚嘆するとともに、非常に刺激を受けました。これからも応援しています。この度はありがとうございました。