決済

【連載第6回】 モール事業者のID決済

モール事業者のID決済は浸透するか?

LINEが開始した「LINE Pay」では、LINEの友だち同士なら送金や送金依頼、割り勘といった便利な機能が利用できますが、テレビCMでもさまざまなコマースサイトでの支払いが利用できることを打ち出しています。国内でも楽天、ヤフー、リクルートといったモール事業者がIDとパスワードのみで決済が可能な仕組みを導入していますが、国内でこういったサービスが浸透する可能性はあるのでしょうか?

楽天、ヤフー、リクルートなど主要なモールがサービスを提供

モール事業者が展開するID決済(チェックアウト)は、利用者にクレジットカードを事前に登録してもらうことで、商品購入時のカード番号の入力の手間を減らし、スムーズな購買に結び付ける目的があります。また、事前に個人情報を入力してもらうことにより、モール事業者から利用者に対してのアプローチも可能になります。

実際、ある支払いでは、買い物ページからのドロップ率は、クレジットカードを利用した場合に比べ5%程度低い結果となっているそうです。また、大手モールでは、登録者情報の洗い替えも定期的に行っており、登録情報の正確性も担保できます。

楽天、ヤフー、リクルートでは、LINEに先行する形で、外部ECサイトで簡単に決済が可能な仕組みを展開。また、今年の夏には、CtoCサービスを展開する「BASE」でもチェックアウト支払いをスタートする予定です。

大規模なユーザーを送客でき、汎用性の高いポイントも貯まる

こういったID決済をECサイトが導入するメリットとしては、支払いボタンの追加のみで、大規模な会員を潜在ユーザーにすることが可能です。例えば、楽天の「楽天ID」は1億人に迫る勢いの会員数を獲得しており、ヤフーでも3,000万人近い会員数を有しています。また、モールを利用する親和性の高い会員が便利に利用できるのも大きなポイントです。現状のLINE Payが利用できるECサイトは、「FOREVER 21」・「GLOBAL WORK」・「LOWRYS FARM」・「niko and …」・「GROUPON」といったように、若年層向けのサービスが多いのもLINEの利用者属性を意識しているからでしょう。

そして、忘れてはならないのは、楽天の「楽天ID決済」は「楽天スーパーポイント」、ヤフーの「Yahoo!ウォレット」は「Tポイント」、リクルートホールディングスの「リクルートかんたん支払い」は「リクルートポイント」(2015年秋以降にPontaポイントに統合)といったように、汎用性の高いポイントに交換することが可能です。

現在、ID決済サービスでもっとも成功しているのは楽天の「楽天ID決済」であると言われています。これは、「楽天市場」「楽天トラベル」と同様のIDとパスワードを使って決済できる仕組みとなり、報道によるとここ1~2年は30%以上の成長を見せているということです。実際、コマースサイトから聞いた情報によると、「無印良品」のWebサイトと楽天市場利用者の親和性は非常に高く、同サイトでは「楽天ID決済」の比率が高いそうです。

また、「楽天ID決済」を導入したサイトが、IDとパスワードだけで会員登録を行える「かんたん登録オプション」も提供。これにより、導入サイトは、会員登録からログイン、決済までを一気通貫で行うことが可能となりました。

ただし、クレジットカード決済などに比べると利用は限定的で、各モール事業者は売上金額などを公表していません。恐らく、テレビCMなどで訴求しているLINE Payについても利用は限定的であると推測できます。その理由としては、消費者の多くが、その利便性を認知していないことが挙げられます。

決済代行事業者の展開に加え、Amazonのスタートがポイントに

普及に向けては、決済代行事業者の推進による導入企業の増加、そしてAmazonの国内でのサービス開始に期待したいです。まず、決済代行事業者の動きとして、これまでソフトバンク・ペイメント・サービスが複数のウォレット決済を積極的に推進してきましたが、最近ではベリトランス等もウォレット決済の導入を強化すると発表しています。また、Amazonは米国では外部コマースサイトでIDとパスワードによる決済を展開していますが、国内でも準備を進めているという噂も聞こえてきます。Amazonが仮にサービスを開始すれば、そのインパクトは大きく、利用者への認知度は一気に高まると予想します。

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楽天の「楽天ID決済」の特長(出典:楽天)