決済

【連載第5回】 東南アジアでのオンライン決済準備状況は?(後編)

後編となる今回のテーマは「規制」です。ICT産業を取り巻く各国の規制状況をお伝えします。記事後半では各国の決済に関する状況を簡単に要約しています。

規制環境

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*本グラフの規制環境指数は、立法機関の有効性を含む国の法律や規制の構造に関連した変数(情報通信技術に関連する法律、紛争解決における法的枠組みの効率、知的財産保護、等)を測定する指標である
Source: Global Information Technology Report 2013

オンライン決済に関わる多数の団体が相互連結していく中で、効率的な法と規制を整備していくことは、サービス成功に不可欠なパートナーシップを促進することに繋がる。

世界経済フォーラム(WEF)からの報告は、シンガポールが情報通信技術(ICT)開発のための政治的、規制環境整備の点で世界をリードしていることを指摘している。非常に効率的で、ビジネスフレンドリーな制度的枠組みと強い知的所有権保護ポリシーは、ICT産業を支えるビジネス環境を作り出している。

フィリピンはビジネスに対する政府規制が重く、ICTのための十分な法が整っておらず、東南アジア主要6ヵ国の中で最も低い位置にある。たとえば、2012年に施行されたサイバー犯罪防止法(オンラインで行われる侮辱を違法とすることを目指した)に関しては、消費者を保護するよりはむしろ消費者をコントロールすることだとして、インターネットユーザーの間で大きな騒動を引き起こした。そして、その法律は施行後1週間で停止された。

各国は準備段階が異なっており、このようにカスタマイズした取り組みを必要とする

シンガポール

シンガポールはキャッシュレス社会への移行準備段階であり、東南アジアをリードしている。銀行取引とインターネットの高い普及率、キャッシュレス決済に対する消費者準備態勢、そして本格的な法体系がこの国でのオンライン決済発展機会を創出している。

マレーシア

マレーシアはシンガポールの流れに続くが、支払チャネルとしての携帯電話利用については遅れを取っている。携帯電話の普及率は高く、もし企業群が良質なマーケティングと消費者啓発を行えばモバイル決済の普及を促進していくであろう。

フィリピン

フィリピンは、ICTインフラが不足している地域でよく人気があるモバイル決済の採用においては他国より早い。しかし、国の規制環境は発達しておらず、全体的にICTが未発達だ。規制を促進するために政府を支援するとともに、企業が新たな決済サービスを提供するため消費者準備を活用することができる。

ベトナムとタイ

ベトナムとタイは両国とも近隣諸国と比較するとオンライン決済準備において「中間」である。ベトナムではモバイル決済の準備が進んでおり、銀行口座を保有しない消費者にもモバイル決済サービスを提供し、拡大するための強力な機会が存在する。しかしタイでは消費者はモバイル決済の受入準備があまり進んでおらず、企業は代わりに主に銀行ユーザーに的を絞ったマーケティングをする必要がある。

インドネシア

インドネシアは3つの指標(インターネットアクセスの容易さ、モバイル利用状況、オンラインバンキングの普及)全てが低いスコアであり、オンライン決済準備では最低ランクであった。インドネシアへの投資企業は、アーリーアダプターに焦点を当てた技術とマーケティングを採用する必要があるだろう。このような戦略は、長期的には高い成功を収めることが証明されている。

3回にわたり東南アジア主要国のオンライン決済状況を見てきた。予想の範疇ではあるが、やはりシンガポールが群を抜いて市場としては成熟している。それ以外の国についてはどこが良い、と判断するのは難しく、インフラに関しては一長一短である。銀行取引が無い代わりにモバイルが浸透していたり、モバイルは浸透していても法規制がほとんど整っていなかったり、全体的に整ってはいないが莫大な人口と潜在市場が眠っていたりと各国毎に状況は異なる。

しかしながら、インターネットの発展によりECが普及するのは時間の問題であり、技術同様にインフラ周りも急速に整っていくと思われる。引き続き各国の情報にはアンテナを張っておきたい。