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【連載第10回】 オンラインコンテンツに強い「ネットワーク型電子マネー」の次なる一手とは?

インターネット上で展開されている「ネットワーク型電子マネー」は、運営事業者がWeb上のネットワークでバリューを管理する方法となります。国内では「WebMoney」「BitCash」「NET CASH」「ちょこむeマネー」といったサービスが展開されており、オンラインゲームを中心に利用されています。

「WebMoney」「Bitcash」「NET CASH」「ちょこむeマネー」等が中心 コンビニなどで気軽に購入可能に

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「au WALLET」にはWebMoney機能も付帯している

「ネットワーク型電子マネー」は、ソーシャルゲーム、オンラインゲーム、音楽、動画、電子書籍など、比較的小額コンテンツで利用されるケースが多いです。ウェブマネーの「WebMoney」、ビットキャッシュの「BitCash」、NTTカードソリューションの「NET CASH」は、オンラインゲームが利用の多くを占めます。ただ、NTTスマートトレードの「ちょこむeマネー」に関しては、物販やチケット購入での利用が多いのが特徴となっています。

ネットワーク型電子マネーの購入は以下の通りです。

①コンビニ等で「ネットワーク型電子マネーを購入」

ユーザーは、コンビニエンスストア、インターネットカフェ、全国の銀行ATMなどで、ID番号が入力されたカードやシートを購入します。以前は、コンビニエンスストアに設置された情報処理端末経由でシートを購入するのが一般的でしたが、「WebMoney」や「BitCash」はコンビニエンスストアの店頭でPOSAカード等の販売を実施。利用者に視覚的訴えて、サービスを訴求しています。近年、シート型の販売は減少傾向となっていますが、店頭での陳列販売で売り上げを補っているそうです。また、クレジットカードやネットバンキングを利用して、インターネット上のウォレットに金額をチャージすることも可能です。

②「チャージ金額の引き落とし」

カードやシートには、基本的に16桁のID(数字やひらがな)が入力されており、利用者は加盟店のWebサイトでIDを入力することにより、チャージ額を引き落とします。

③購入した金額までの商品、コンテンツなどを購入

たとえば、1,000円分の「ネットワーク型電子マネー」を購入した場合、券面には1,000POINTや1,000クレジットと記載されており、1POINT/クレジット=1円として加盟店で利用することが可能です。

ネットワーク電子マネーのメリットは以下が挙げられます。

①個人情報の入力なくサービスを利用可能

ネットワーク型電子マネーは、匿名性を確保でき、コンビニエンスストアなどで気軽に購入できるため、セキュリティ面の不安からクレジットカード番号の入力を避けたい場合に有効となります。

②入金した範囲で利用可能

「Suica」や「WAON」、「nanaco」などの非接触ICカードと同様に、前払い方式により入金した範囲で利用できるため、使いすぎるという心配がありません。

③若年層でも利用可能

18歳未満の若年層、与信からクレジットカードを持てない人なども気軽に利用できます。

「ネットワーク型電子マネー」を買ってきては犯罪につながるケースも 「au WALLET」にはWebMoneyの財布機能を搭載

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ウェブマネーは安全利用促進ページをオープン(出典:ウェブマネー)

ネットワーク型電子マネーの歴史をみると、2000年以降のオンラインゲーム、2009年以降のグリー(GREE)やモバゲー(Mobage)の急成長の流れに乗り、急激に売り上げを伸ばしました。しかし、最近では、主力となるサービスの売上が以前に比べ鈍化しています。また、オンラインゲームの利用が中心で、利用できるサービスに限りがあることは否めません。さらに、スマートフォンを利用したキャリア決済の台頭など、競合となる新たな決済手段も増えています。何より、ネットワーク電子マネー事業者を悩ませているのは、昨今利用者が拡大しているApp StoreやGoogle Playなどのインターネット領域に入れないことが大きいでしょう。

ただ、そういった課題に手をこまねいているわけではなく、たとえばウェブマネーでは課題解決に向けて国際ブランドプリペイドカード「WebMoney Card」を投入しました。また、NTTスマートトレードでも「MasterCardプリペイドねっと」(インターネット専用)を提供しています。いずれもクレジットカードの国際ブランドであるMasterCard加盟店で利用可能です。

これにより、たとえばオンラインゲームユーザーであれば、海外のサイトでもゲームを楽しめます。また、App StoreやGoogle Playなどの利用も可能となっています。さらに、「WebMoney Card」は、インターネット以外の加盟店でも利用できるため、たとえば飲食店やコンビニエンスストアなどでの日常の買い物にも使用可能です。なお、ウェブマネーはKDDIの子会社であり、「au WALLET」のウォレット機能にはウェブマネーのマークも記載されています。「au WALLET」は「WebMoney Card」をベースに作られたともいえるでしょう。

なお、オンラインゲームやソーシャルゲームのユーザーの勢いはなくなりましたが、WebMoney、BitCash、NET CASHのユーザーの中心であることは変わりないため、これらの続く第三の波により、市場が再び拡大する可能性もありそうです。

最後に、ネットワーク型電子マネーでは、社会的な課題も顕在化していることに触れなくてはなりません。残念ながら、匿名で購入できるというサービスの特徴が仇となってしまっている事件もテレビなどで報道されています。たとえば、LINE等のコミュニケーションアプリ上で電子マネーを要求したり、サイト利用料と偽って「ネットワーク型電子マネー」を要求する架空請求など、詐欺行為が発生しています。そのため、ウェブマネーでは「安全利用促進ページ」をオープンして、健全な利用を呼び掛けています。国民生活センターでは、注意文書も公表していますが、こうした詐欺行為に対し、注意を払って行動してもらいたいですね。