決済

【連載第16回】 中国最大のオンライン決済サービス「Alipay」が対面でも広がるか?

中国のオンライン決済市場で圧倒的なシェアを誇るのが「Alipay(アリペイ:支付宝)」です。日本の流通小売の多くが中国人の購買力に期待しており、「銀聯(ぎんれん)」対応を進めていますが、2016年はAlipayの対面決済が拡大する兆しを見せています。

8億人以上が利用するエスクロー決済

Alipayは、中国の第三者型オンライン決済においてシェア50%を有する代替オンライン決済のリーディングカンパニーです。サービスはC2C、B2CおよびB2B領域をカバーし、独自の決済サービス「エスクロー」を2004年に開始しています。

エスクローの仕組みとして、まず商品購入者がAlipayに代金を支払い、売り手はそれを確認してから商品を発送します。購入者が商品受け取りをAlipayに通知すると、Alipayから売り手の口座に代金が移され決済が成立する流れとなります。

Alipayは、スタート当初はアリババグループのC2CとB2C電子商取引サイトである淘宝網(taobao:タオバオ)のオンライン決済がメインでした。たとえば、米国ではオンランオークションのeBayとPayPalが相乗効果で成長を続けてきましたが、中国で同様に拡大してきました。

現在、Alipayは淘宝網などグループ内クライアントを始め、eコマース、ゲーム、航空、トラベル、保険、教育、公共料金など幅広い業界で利用されています。2014年には24時間の取扱件数1億970万件、売上1.1兆円という記録を達成。また、2012年12月にはユーザー数が8億人に到達したそうです。さらに、Alipayは、中国工商銀行や中国銀行など、約100もの金融機関とタイアップし、50万以上のウェブマーチャントにオンライン決済を提供しています。

ブランド力、圧倒的な会員数、中国全土をカバーする資金チャネルが強み

Alipayが中国で浸透するにつれ、同国内のユーザーも海外で商品を購入したいというニーズが高まったため、2007年8月から海外ECサイトでのショッピングの支払い手続きをAlipayで決済できる「Alipay国際決済」の提供を開始。サービスのメインターゲットは、中国人の消費ニーズのある海外のショッピングサイトとなっています。決済通貨は、中国・元に加え、アメリカ・ドル、ユーロ、香港・ドル、シンガポール・ドル、日本・円、スイス・フラン、イギリス・ポンドなど12に対応しており、決済銀行は中国銀行と中国建設銀行となります。

日本国内では、ベリトランス、ソフトバンク・ペイメント・サービス、GMOペイメントゲートウェイなどの大手決済代行事業者と提携し、日本の加盟店に対しサービスを提供しています。基本的に接続インタフェースや、管理ツールなどは日本語で提供されるため、日本のECサイトでも容易に導入できるそうです。また、2014年には、ヤフーの「Yahoo!ショッピング」や楽天のオンラインショッピングモール「楽天市場」の海外販売サービス「Rakuten Global Market」でAlipay決済が追加されました。

日本や海外の企業が中国市場でビジネスを展開する際、Alipayの優位性は大きく3つあると言われています。まずはブランド力です。エスクロー決済サービスからスタートし、中国消費者に根強い安心感と信頼感を得たAlipayのブランドイメージは大きな強みとなるでしょう。また8億人を超える圧倒的な会員数も魅力の1つです。そして忘れてはならないのは資金チャネルでインターネットバンキング、クレジットカード、郵政、コンビニなど、中国全域をカバーしている点が挙げられます。

「Airレジ」を使い、対面決済サービスを日本で開始

中国のオンラインマーケットで圧倒的な地位を確立したAlipayが次に狙うのは、モバイルを活用したオフラインの市場です。すでに、iOSやAndroidのスマートフォン用のモバイルアプリ「Alipay銭包」を無償で提供し、Alipay口座の資金を用いてQRコード決済を提供しています。中国では、2013年以降、モバイルによるオンライン決済が急速に拡大。現在、Alipayのモバイルアプリをスマートフォンなどにダウンロードしているユーザーは3億人を突破し、中国のスマホ決済マーケットで82%のシェアを占めているというから驚きです。

2014年8月にバージョンアップされたAlipay銭包8.2では、QRコードのスキャニングやアプリのローンチスピードの改良が行われ、新たに電子チケットやクーポン券などを管理することができるウォレットアプリ「AliPass」がリリースされました。

Alipay銭包のプラットフォームには、決済機能に加え、ユーザーアカウントシステム、電子クーポンや電子チケット、QRコードなどのバーコード読込によるキオスクマシーンでの決済、Wi-Fiスポットへのアクセス、CRMサービス、認証機能などが備わっているということです。

なお、2015年9月末には、リクルートライフスタイルの運営する無料のPOSレジアプリ「Airレジ(エアレジ)」を使い、日本で初めて「Alipay国際決済」の対面決済サービスの提供を、2015年末までを目処に開始すると発表されています。日本では、QRコードを活用した決済というと、タッチするだけで支払いが完了する「NFC(Near Field Communication)」などに比べて時代遅れの印象があるかもしれません。ただし、日本でも大丸松坂屋百貨店で利用開始された、中国最大のSNSサービス「WeChat(微信)」が展開している決済サービス「WeChat Payment」もQRコードを採用しているように、キャリアフリーで利用できるメリットを生かし、中国現地ではQRコードを利用した決済が進んでいる状態です。

2016年は、Alipayの対面決済が国内でどの程度広がるか、注目したいです。

Alipayは世界最大のオンライン決済プラットフォームとして、
スマホをベースとする生活密着サービスや、金融サービスも展開(出典:Alipay)
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リクルートライフスタイルでは、「Alipay」のQRコードを「Airレジ」にかざすことで
決済ができるモバイルペイメントサービスの提供を予定