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【連載第21回】 ヤフーが銀行口座から決済できる「預金払い」を発表 「Yahoo!ウォレット」を利用した「リアル決済」も展開へ

ヤフー(Yahoo!JAPAN)は、2016年4月19日、銀行口座から即時に代金が引き落とされる「預金払い」、および「Yahoo!ショッピング」などでの商品購入に1円単位で利用できる電子マネー「Yahoo!マネー」を提供すると発表しました。ヤフーでは、登録したクレジットカード番号を利用して決済可能な「Yahoo!ウォレット」を提供していますが、今回の新サービスにより、さらなる利用者の拡大を見込んでいます。

預金残高を利用して手数料無料で支払いが可能に

「Yahoo!JAPAN」では、Yahoo!JAPAN IDに支払い方法を登録しておくと、クレジットカード番号などの入力なく、簡易に決済できるサービスである「Yahoo!ウォレット」を提供しています。現在、「Yahoo!ウォレット」の登録数は3,300万を超え、Yahoo!ショッピングの40万加盟店やYahoo!オークションの出品者などはもちろん、外部の6,500サイトで利用可能となっています。

報道によると、今回の新サービスの1つの目的は、現金利用者の取り込みとなります。現在、インターネット決済では約32%、リアル決済では約79%の取り引きが現金で支払われています。そういった現金利用者に便利に使ってもらうため、「預金払い」「Yahoo!マネー」のサービスは考えられたそうです。

初夏から提供する「預金払い」は、銀行などの預金残高を利用して手数料無料で支払いが可能です。利用者は、対象となる銀行口座を「Yahoo!ウォレット」に登録しておけば、「ヤフオク!」や「Yahoo!ショッピング」、「LOHACO」などでの買い物の際に、銀行口座から即時に代金が引き落とされます。サービス開始当初は、大手銀行4行(三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行)、ネット銀行1行(ジャパンネット銀行)、地方銀行20行の、合計25行の銀行口座に対応。さらに年内に三菱UFJ銀行、地方銀行12行の追加が検討されています。

一方、「Yahoo!マネー」は、預金払いと同様に、「ヤフオク!」「Yahoo!ショッピング」「LOHACO」での買い物に1円単位で利用できます。また、チャージは「預金払い」に対応している銀行口座から100円以上1円単位で行うことが可能です。さらに、「ヤフオク!」で出品した際の落札代金を「Yahoo!マネー」で受け取ると、いつでも落札代金の2%が「Yahoo!マネー」として上乗せされます。

25行の銀行に対応した「預金払い」と電子マネー「Yahoo!マネー」の概要(出典:ヤフー)
25行の銀行に対応した「預金払い」と電子マネー「Yahoo!マネー」の概要(出典:ヤフー)

友人に対しての送金、口座に対する払い出しが可能

一般的な電子マネーと違い、友人に対しての送金、口座に対する払い出しが可能です。国内では、複数の送金サービスが行われていますが、ヤフーではさらに簡単に利用してもらうために、割り勘・個人間送金に特化し、iOSおよびAndroidに対応したアプリ「さっと割り勘 すぐ送金 from Yahoo!ウォレット」を提供するそうです。

送り手は、同アプリをダウンロード後、Yahoo! JAPAN IDでログインして「Yahoo!マネー」の利用登録を行い、「預金払い」に対応した銀行口座を「Yahoo!ウォレット」に登録。送金する相手を選択後、金額を入力して「Yahoo!マネー」を贈ることが可能です。
LINEやFacebookの友達に送金することも可能で、受け取る側は、Yahoo!マネーの利用登録さえすれば、アプリのダウンロードや預金払い用口座の登録なしで受け取れます。また、受け手は、「Yahoo!マネー」の利用登録をしていれば、1タップで「Yahoo!マネー」を受け取ることができるそうです。

さらに、「割り勘」機能では、総額に対して、割り勘する金額と人数を入力すると、自動で割り勘リストが作成されます。手動で金額の調整も可能で、友人との食事や、会社での飲み会の際に上司と部下の金額を分けるなど、幅広い人に利用してもらえる機能が搭載されています。

ヤフーではまず、自社のECでサービスをスタートしますが、今秋から、「GYAO!」、「Yahoo!ゲーム」など他のサービスでも「預金払い」と「Yahoo!マネー」に対応する予定です。

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個人間送金機能の概要。簡単に送金できるのが売りとなる(出典:ヤフー)

個人間送金機能・割り勘機能はLINE Payでも提供

今回のヤフーのサービスは、LINEが開始した「LINE Pay」と比較的似たサービスのように見受けられます。実際、個人間送金機能・割り勘機能については、LINE Payで提供されてきました。電子マネーを銀行口座に出金することができるのも同じとなっています。

ヤフーでは、今回の「預金払い」の特徴として、「ヤフオク!」で出品した際の落札代金を「Yahoo!マネー」にチャージできる起点を持っているのが強みとしています。LINE PayはSNSをベースとするLINEが提供するサービスであり、コミュニケーションをベースにサービスを提供しています。一方、ヤフーでは、ショッピング事業を提供しており、コマースがベースのサービスとなります。LINE Payでは、LINE利用者同士のコミュニケーションにより送金機能を提供していますが、まだまだ利用は限定的なように思われます。携帯電話を利用したコミュニケーションの中で送金を行う文化が根付いていない中、コマースを起点にどの程度サービスを拡大できるか、注目していきたいです。

さらに、ヤフーでは2017年春に、「Yahoo!ウォレット」として初めてリアル決済領域への参入も予定しています。その方式については、カードになるか、モバイルを活用するのかは検討中とのこと。国内でもモバイルを利用して複数の決済サービスが行われていますが、それらの多くのサービスが大きな広がりを見せていません。そのため、消費者に響くサービスを構築するのは難しいかもしれませんが、“爆速”で広がるサービスの考案に期待したいですね。