決済

【連載第24回】連載EC決済のイマとミライ 米国のECサイトのトレンドは会員登録よりも「ゲスト購入」が主流に?

一般社団法人ジャパンEコマースコンサルタント協会(JECCICA)とPayPal Pte. Ltd.(ペイパル)が2016年3月2日に公開した「中小EC企業向け・2016年EC戦略白書」では、日米での会員登録の違いについて説明されていました。これによると、日本で必須にしている会員登録ですが、米国でのトレンドは「ゲスト購入」が主流になっているそうです。

知名度があり、多くの品ぞろえがあるサイトが普段使いされる

「中小EC企業向け・2016年EC戦略白書」ではまず、消費者の利用動向として、全国2万人の消費者の多くがモール(87%の利用率)や大手ECサイト(45.2%の利用率)を普段使いしていることが明らかとなりました。「パレートの法則(20:80の法則)」にあるように、日本のECサイトも2割の企業で8割方の売上を支えていると言われています。モールの寡占状態の市場において、中小のECサイト利用率は7.3%にとどまる結果になったのは予想通りです。

また、モールや大手ECサイトの利用動機として、「商品数が多いから」「すでに会員登録しているから」「使い慣れているから」「有名だから」「普段使っている決済方法が使えるから」といった意見が目立ちます。やはり、一般に知名度があり、多くの品ぞろえがあるサイトが普段使いされています。また、大手サイトでは、IDとパスワードを利用して簡易に支払いができるため、一度使われると繰り返し利用されています。

逆に、中小のECサイトで商品を購入する消費者は、年3回以下の利用が53.1%を占めました。さらに、24.8%の人は1回のみの購入となっています。中小サイトの場合、なかなかサイトまでたどり着かないケースも多いため、まずは一度利用してもらい、その良さを分かってもらうことが重要です。

中小のECサイトで商品を購入しない理由では、「会員登録が面倒」「商品数が少ない」「セキュリティが不安」「メルマガが嫌」などの項目が多くなっています。

消費者はメルマガでのアプローチを嫌う?

同レポートによると、以前は会員獲得、メルマガ登録が成功事例となっていたそうですが、現在はそれがボトルネックになっている部分もあるとしています。最近では、メルマガでのアプローチを嫌って、会員登録時に正確なメールアドレスを入力しない人も増えています。
今回の調査でも、メルマガについてEC企業側は有用との見方が多かったですが、消費者側は“面倒・不要”と回答しているように、双方の考えにギャップが出ています。また、「消費者は会員登録を嫌がっていない」と考えるEC企業の割合は49%でしたが、「会員登録をすることに抵抗がない」と回答した消費者は4%のみとなりました。

米国では売上トップ25の2社のみが会員登録を必須に

そんな中、日本では、売上トップ100で強制的な会員登録を必須にしている企業は70社となったように、会員登録化がECサイトの売上を高めるために、必要という考えを抱く企業も少なくありません。しかし、米国では会員登録を必須にしている企業は26社にとどまりました。さらに、売上トップ25に限定すると、日本は21社が必須としていますが、米国は2社のみ。同レポートによると、グローバルなトレンドは、「ゲスト購入」が主流になってきているそうです。

また、中小のECサイトに消費者が抱く不安として、個人情報流出や、カードの不正利用、その他商品が届くかどうか、配送など、セキュリティ面の不安を感じる人が多いことも明らかとなりました。決済に関して言えば、ここ数年のクレジットカードの相次ぐ情報漏洩事件に不安を抱く人は少なくないでしょう。

さらに、商品を購入する買い物の途中で離脱した「かご落ち」については、中小のECサイトでは62.3%の消費者が経験ありと回答しています。同レポートででは、以下の点をかご落ちの原因としています。

(1)安心や信頼を感じるデザインや文言(コピー)が不足
(2)カゴSTEPの簡略化をしていない(デフォルトのまま使用している)
(3)セキュリティを意識していない/表示していない
(4)送料や決済手数料など、発生するコストが明記されていない
(5)会員登録を強制している

「ID決済サービス」は消費者ニーズを満たせる有効な手段

また、近年はモバイルを利用して商品を購入する人が増加。その対応として、IDとパスワードの入力のみで支払いが行える「ID決済サービス」は、利便性と安全性という消費者ニーズを満たせる有効な手段であるとしています。日本でも複数のID決済サービスが展開されていますが、同調査では40%程の消費者がID決済サービスを利用していることが分かりました。利用経験のあるID決済サービスとしては、1位が「Yahoo!ウォレット」、2位が「楽天ID決済」となっています

これらの調査から、今後はゲスト購入を可能にした上で消費者が求める決済手段を提供し、一回目の購入を促すことが必要になるとしています。最近では、Amazonの「Amazonログイン&Payment」やPayPalといった決済がこういったサービスを提供しています。将来的には、越境ECの広がりも予想されることから、ゲスト購入が主流になる米国など、海外のECサイトのニーズを取り込んだうえで、ECサイトの運営を行うことも求められるかもしれませんね。

62.3%の消費者がかご落ちの経験があると回答(出典:JECCICAとPayPalの調査資料)

62.3%の消費者がかご落ちの経験があると回答(出典:JECCICAとPayPalの調査資料)

ID決済の利用状況はキャリア決済、モール型ID決済、汎用のID決済を含んでいる

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