決済

【連載第32回】連載EC決済のイマとミライ 米国Fintechを代表する「Stripe」がいよいよ日本で本格展開を開始

米国でのオンライン購入で約4割の利用があるという報道もある「Stripe」。日本でもFintechユニコーンとして注目を集めていますが、三井住友カードと提携してビジネスを開始しました。米国を席巻するStripeは、将来的に国内でも確固たる地位を築く可能性もあります。

数行のコードを組み込んで簡単に決済機能を実装可能

サンフランシスコに拠点を構えるStripeは、2011年9月に会社を設立。創設者はアイルランド出身のPatrick Collison氏とJohn Collison氏で、ともに20代の若き起業家となっています。現在、Stripeは25カ国で事業展開。毎年数10億ドルの成長があり、世界の主要国際ペイメントブランドのVisaやAmerican Express、日本の大手カード会社の三井住友カードなどから、約3億ドルの資金調達に成功し、現在の企業価値は50億ドルともいわれています。

Stripeでは、2014年6月にストライプジャパンを設立し、2015年5月から日本において招待制のベータ版のテスト運用を行ってきましたが、2016年10月から国内で本格的にビジネスをスタートさせました。

「Stripe」は、開発者がECサイトにわずか数行のコードを組み込んで簡単に決済機能を実装できるツールで、「開発者向け決済サービス」「コード決済」「簡易決済サービス」などと呼ばれています。日本でも同様のサービスとして、「Yahoo!ウォレットFastPay」、「Webpay」(サービス終了を発表)、「PAY.JP」、「Veritrans Air」等が展開されています。

同サービスは、米国では、新たな決済サービスとして注目されており、キックスターター、ピンタレスト、ツイッター、フェイスブック、セールスフォース、アップルなどがStripeのサービスを利用しています。たとえば、Appleのモバイル決済サービス「Apple Pay」のパートナーとしてStripeは名を連ねています。また、アジアでは、Alibabaグループの「Alipay」とも提携しています。

国内での決済手数料は一律3.6%、130通貨に対応

国内での決済手数料は一律3.6%で、料金の上乗せはありません。ベータ版では、Peatix(ピーティックス)、Gengo(ゲンゴ)、ANA(全日本空輸)などからフィードバックを受け、日本市場にあったサービスの提供に努めたとのこと。

また、サービス開始時点で約130通貨に対応。Stripeを使えば、世界中どこからでも瞬時に決済を受け付けることが可能となります。グローバルの消費者に対し決済機能を提供するサービスの場合、通貨の変換がスムーズな点もStripeの価値を高めていると言われます。

Stripeでは、インターネットを通じて複数の売り手と買い手の売買を実現するマーケットプレイスを対象とした決済システム「Stripe Connect(ストライプ・コネクト)」を提供していますが、日本国内でも利用が可能となりました。たとえば、Stripe Connectの導入企業であるハイヤー配車サービス「Lyft」では、乗車の際「乗客からLyft」「Lyftから運転手」という2つの決済が発生しますが、2者間の決済を可能としています。

また、サードパーティ内のアプリで商品を直接表示したり、アプリで購買ボタンを表示して決済につなげることができる「RELAY(リレイ)」も提供します。

さらに、「Dashboard(ダッシュボード)」機能では、全取引、顧客情報、定期支払い、振込などを直接管理できます。Stripe上のデータは、Netsuite、Quickbooksなど既存のシステムと同期して経理担当者の会計管理とレポーティングを効率化させることが可能です。

導入企業にとっては、売上代金が週に1回精算されるため、キャッシュフローの面でも現金決済に近い形で処理が可能です。

日本では、Stripeが包括加盟店としてカード会員のオーソリや加盟店管理を行うそうですが、三井住友カード自身でもブランド精算や加盟店管理を行うダブルチェック体制となるようです。また、カードの不正防止についても協力して実施するそうです。国内の企業は安心感を求めるケースも多いため、スマートフォン決済を提供するSquare(スクエア)同様に三井住友カードと提携したのは、プラスに働きそうです。

ワンタイムトークンによりカード情報が漏洩しない仕組みを実現

セキュリティ面では、Stripeを利用した決済において、顧客が入力したクレジットカード情報をブラウザー側で取得し、ワンタイムトークンを生成する仕組みを採用。ECサイトでは、このトークンを利用して処理を行われるため、カード情報を漏えいさせるリスクを回避可能です。つまり、カード情報を加盟店側で「伝送」「処理」「保存」しないセキュアな決済システムが実現できるとともに、ペイメントカードの国際セキュリティ基準「PCI DSS」の準拠項目を大幅に減らすことが可能です。PCI DSSへの準拠が強く求められる米国においては、セキュリティ面も優れているコード決済は、スタンダードな決済方式となりつつあります。

このようにStripeの強みを紹介してきましたが、日本のEC決済市場は特殊であり、世界を席巻している同社と言えども一筋縄ではいかないでしょう。ただ、Stripeは“決済をシンプルにする”ための手段として、米国において確固たる地位を確立しました。そのため、Fintechユニコーンとして独自性のある日本の市場を攻略する有益な手法を見出す可能性もあります。Stripeの今後の展開に期待したいですね。

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「オンライン決済の新しい標準」を目指すStripe