決済

【連載第36回】連載EC決済のイマとミライ 「楽天市場」で全店舗統一決済「楽天ペイ(楽天市場店舗向けペイメントサービス)」を開始、店舗への入金も一元化

「楽天市場」を運営する楽天は、「楽天ペイ(楽天市場店舗向けペイメントサービス)」を、2017年4月以降より順次導入します。楽天からのリリースは出ていないものの、複数のメディアや楽天市場店舗向けのカンファレンスなどではすでに開始が発表されています。今回はメディアの情報を参考に、同サービスを紹介したいと思います。

複数の決済手段を標準で搭載、後払いにも対応

楽天では、2017年4月から順次、楽天市場出店者向けの新決済プラットフォームとして、「楽天ペイ」を開始します。メディアの報道では順次となっているように、4万店舗一斉スタートではないようです。導入する決済手段は、「ネットショップ担当者フォーラム」によると、クレジットカードに加え、非接触電子マネー、楽天口座決済、ペイジー(Pay-easy)、携帯キャリア決済、コンビニ決済(前払い)などとなっています。

これら、さまざまな決済手段を標準で搭載し、一本化して提供することで、店舗側のメリットを向上させる狙いがあります。これにより、ユーザーにとっても楽天市場各店舗でさまざまな支払い手段を利用でき、複数の店舗の支払いを一括して行うことができるようになります。これまで、出店店舗によっては、銀行振り込みのみで、クレジットカードが使えないなど、支払い手段にばらつきがありましたが、そういったこともなくなります。

また、複数のメディアでは、後払い決済に対応する予定であるという報道が出ています。「ペイメントナビ」によると、これは出店店舗からの要望を受けてのものだそうで、ECサイトにおいて、着実に後払いが浸透してきていることがわかります。

さらに、従来、30日であったクレジットカードの支払いサイクルを締め日の20日の入金に変更。つまり、決済の入金サイクルを10日ほど短縮。クレジットカード以外の決済についても店舗ごとに異なっていた振込のタイミングを統一するそうです。「ECのミカタ」によると、楽天市場の約8割の決済がクレジットカードと言うことですが、出店店舗の資金繰りもよりしやすくなったといえるのかもしれません。

楽天独自のクレジットカードなどの不正注文対策も強化

クレジットカードなどの不正注文対策もさらに強化するそうです。楽天市場の店舗では、高額の商品など、換金性の高い商品を販売される店舗では、自身で不正注文対策を行っていると思われます。各店舗では、カード情報や住所などの過去の取引データをもとに、真正か不正かの判別を自ら実施するのは非常に労力がかかりますが、楽天には楽天市場全体としての過去の取引から得られた情報を保有しており、不正検知のノウハウを有しています。その強みをすべての店舗の注文に適用することで、決済関連業務に忙殺されることなく、安心して楽天市場に出店してもらうことが狙いのようです。

特に近年では、海外発行カードによる国内加盟店での不正使用が目立っていますが、国内での注文、海外からの注文の不正については、傾向を見定めることで対応するといいます。また、海外からの不自然な注文などに対しては、本人認証サービスの「3-Dセキュア」、カード裏面等に表示された「セキュリティコード」認証を導入していくそうです。

そのほか、国内住所からの不正注文に対しては10万円、海外住所からは50万円までの被害額に対し、補償を保険料なしで行うように変更するそうです。

さらに、店舗では万が一に備え、チャージバック保険に加盟しているところもありますが、楽天では楽天インシュアランスが「チャージバック補償団体保険制度」を提供しています。その金額についても、保険料を月2,000円安くして提供。それに加え、海外住所からの注文に対して月間被害額100万円までの補償を行うプランも新たに提供します。

楽天では、同サービスにおいてシステムとオペレーションセンターを構築し、出店店舗の決済関連業務を代行することも予定しています。

なお、「ECのミカタ」と「ネットショップ担当者フォーラム」の報道では、料金形態も公表されていますが、月間決済代価と平均決済単価に応じて、2.5%~3.5%の手数料がかかるということです。

楽天市場以外の決済サービスも「楽天ペイ」の名称に

今回は「楽天市場」での決済について紹介しましたが、楽天では自社で提供するさまざまなサービスにおいて、「楽天ペイ」に名称を統一しています。たとえば、楽天会員IDに登録したクレジットカード情報で楽天以外のオンラインサイトでも支払いができ、ポイントも貯まる・使えるサービス「楽天ID決済」も「楽天ペイ」に名称を変更。同様に、楽天が提供する加盟店向け決済サービスである「楽天スマートペイ」も「楽天ペイ(実店舗決済)」に変更しています。さらに、「Alipay」や「WeChat Pay」決済同様に、店舗のスマホ・タブレット端末からQRコードを読み取る「QRペイ」とユーザー自身がスマホに金額を入力して決済する「セルフペイ」を提供していますが、「楽天ペイ」の名称で始動しました。

楽天が提供するサービスを「楽天ペイ」に統一したことは、サービスとしてのわかりやすさを重視したものと思われます。これまで楽天が提供する金融サービスでは、「楽天Edy」と「楽天カード」はわかりやすさはあるものの、「楽天ID決済」や「楽天スマートペイ」を知らない人も多く、認知度向上も課題になっていたと思われます。楽天市場に加え、決済プラットフォームとして「楽天ペイ」が浸透することで、ID決済やQR決済、対面のPOS決済のさらなる普及も期待できそうです。

(出典、参考記事)

ECのミカタ

https://www.ecnomikata.com/ecnews/11420/page1

ネットショップ担当者フォーラム

https://netshop.impress.co.jp/node/3553

ペイメントナビ

http://www.paymentnavi.com/paymentnews/63250.html