決済

【連載第37回】連載EC決済のイマとミライ 「Amazonダッシュボタン」だけじゃない!リアルから簡単にリピート決済が可能なIoT技術が注目

アマゾンが2016年12月15日に開始した「Amazonダッシュボタン」が注目を集めています。今後は、ネットとリアルがつながるIoT(Internet of Things:モノのインターネット)技術を活用することで、インターネットショッピングがより便利になる可能性もありそうです。

「Amazonダッシュボタン」はボタンを押すだけで商品のリピート購入が可能に

日本でサービスが開始された「Amazonダッシュボタン」。米国では、2015年3月31日にスタートしたサービスですが、“ただボタンを押すだけ”で繰り返し商品を注文可能です。

利用者は各商品の「Amazonダッシュボタン」を500円で購入。初回利用時に500円が割引となるため、実質無料で商品を持つことが可能です。商品を購入後、Wi-Fiに接続して、iPhoneやAndroidといったスマートフォンの「Amazonショッピングアプリ」からお気に入りの商品を設定すれば、あとはボタンを押すだけで注文が可能です。

カード決済との紐付けとして、まず「Amazonダッシュボタン」を購入し、商品が届いたらスマートフォンのAmazonショッピングアプリを起動します。アプリではメニューのアカウントサービスをタップし、AmazonのIDとパスワードを入力。アカウントサービスのメニューの一覧から、「Dash端末」という項目の「新しい端末をセットアップ」をタップします。
その後、「Amazonダッシュボタン」を長押しすることで、Wi-Fiへの接続が行われ、ボタンにプリセットする商品を選択。注文する商品を選択し、1クリック設定したのち、配送情報、クレジットカード、コンビニATM・ネットバンキング・電子マネー払い、代金引換といった支払い方法を選びます。設定完了後は、ボタンを押すだけで配送が行われ、支払いも行われる仕組みです。

「Amazonダッシュボタン」が利用できる主な対象商品は、食料品、洗剤、飲料、おむつなど、日用品が中心です。たとえば、ミネラルウォーターの場合、冷蔵庫に「Amazonダッシュボタン」を貼り付けておけば、自宅に配送される仕組みとなっています。

また、商品が届くまでは重複して注文ができないように工夫されています。さらに商品の確認通知が届くため、たとえば子供が誤ってボタンを押してしまったなど、意図しない注文に関してはキャンセルが可能です。

サービス開始後の反響として、ボタンを押すだけのため、「非常に便利」「画期的なサービス」といった意見が目立ちます。一方で、購入できる商品が限定されるため、「もっと種類を増やして欲しい」といった意見も見受けられました。

メガネスーパーは「コンタクトかんたん注文アプリ」でリピート購入を目指す

「Amazonダッシュボタン」以外にも注目の技術が登場しています。メガネスーパーでも公式アプリ「コンタクトかんたん注文アプリ」を2017年1月23日にリリース。オムニチャネル展開で注目を集めるメガネスーパーですが、「コンタクトかんたん注文アプリ」はおそらくAmazonダッシュボタンをモチーフに開発されたサービスであると思われます。利用にはメガネスーパーポイントカードへの登録が必要ですが、同アプリを使えば、好きなタイミングで過去に購入したコンタクトレンズの買い足しが可能です。また、買い忘れ防止のため、指定した日時にプッシュ通知が届く仕組みとなっています。さらに、「レンズ交換タイマー」として、2週間や1カ月など、設定したレンズ交換日を通知。支払い方法はコンビニ決済に加え、代引き、クレジットカードを選択可能です。

コンタクトレンズ、カラーコンタクト、ケア商品が対象となり、直近で購入した商品以外にも、2015年以降に購入した商品であれば追加することが可能です。メガネスーパーでは、顧客情報を基盤として、実店舗、電話でのコンタクト受注センター、LINE@などのメガネスーパーが展開する販売チャネルを自由に選択できるようにすることで、コンタクトレンズ販売の一層の利便性向上を図っているそうです。

ただ、こうしたアプリは非常に便利な反面、一度利用してもらうまでの障壁があるのも事実です。今後の成功に向けた鍵として、コンタクトレンズなどを販売した店舗のスタッフがその場でアプリへの登録を促すことができれば、さらに利用が活性化されるでしょう。

ピザハットはスマホをかざすだけで注文サイトへ誘導

簡単に商品を注文できるサービスを目指した取り組みは宅配でも始まっています。日本ピザハットが運営するピザハットは、かざすだけで商品の注文サイトに誘導可能なNFC(Near Field Communication)を活用し、2017年2月20日から、ピザハット奏の杜フォルテ津田沼店で導入を開始しました。

具体的には、自宅の冷蔵庫などに貼れるピザハットオリジナルのNFCステッカー「マグネット型スマートプレート」を顧客に配布したり、店頭のポスターやPOPにも組み込み、スマートフォンをかざすだけでお得な情報やクーポンを入手可能です。

ピザハットでは「スマートプレート」を、店舗情報を広く告知するアイテムの1つとして考え、家庭にとどまらず、貸会議スペースや宿泊施設、アミューズメント施設やスポーツ施設など、場所にとらわれず店舗と顧客との接触機会を増やせる新たなツールとして活用していくということです。

昨今、雑誌やポスターなどで、QRコードを活用して通販サイトなどへ誘導する取り組みが行われていますが、その場合、アプリを立ち上げる動作が必要です。NFCであればそういった動作は必要なく、より簡単にサイトに誘導させることが可能です。そのため、リアルの世界から、サービスや商品購入につなげることが可能な仕組みとして注目されています。たとえば、前述の「Amazonダッシュボタン」のボタンを押す動作の代わりに、スマートフォンをNFCステッカーにかざすだけで注文が完了する、といったことも将来的には想定されます。

その一方で、課題もあります。iPhoneにはNFC機能は搭載されているものの、現状、国内では「Apple Pay」での支払い機能しか提供されていません。ピザハットにおいても、NFCとQRコードとの併用となっていますが、将来的には機種を問わず利用できる環境が整備されると期待したいですね。

今後もIoT技術を活用し、通販サイトの商品を便利に購入できるサービスが登場すると思われます。モノにインターネットがつながることで、特にリピーターの確保には有効に働くケースが期待されます。「Amazonダッシュボタン」や「コンタクトかんたん注文アプリ」では、登録されている決済手段や配送情報と紐付く形でサービスが提供されていますが、主婦層には後払いを提供するといったように、顧客の属性にあった決済手段を提供することも求められるでしょう。

ボタンを押すだけで商品の注文が可能な「Amazonダッシュボタン」(出典:Amazon)