• 越境EC
  • 連載第2回
  • 2015/4/16

東南アジアのeコマースを発展させるために必要なこと(後編)

world_kv0320

前回は5つのポイントのうち、「インターネットアクセスの増加」、「新規参入に対する支援」を紹介しました。後編となる今回は、より消費者寄りのポイントをお伝えします。

3.オンラインセキュリティの強化

japasian_img0409_01

ASEANの消費者は依然としてオンライン取引が安全だとは信じていないようである。東南アジアのオンライン購買者は国際平均と比較してクレジットカード情報を提供することに対して慎重だ。この状況に対するいくつかの理由として、規制のギャップ、国境をまたぐ司法権の欠如、そして高まるサイバー攻撃への脅威、が挙げられる。

現在、規制の枠組み改善は各国内で行われている。サイバーセキュリティに関するベストプラクティス情報が東南アジア地域全体で共有されることはほとんどない。報告書は政府間でのさらなる情報共有を基本的に推奨している。また、報告書はサイバー犯罪がどこで発生しようとも同じ結果となるよう、6か国の法的枠組みを調和させていくべきだ、とも述べている。
(マイクロソフトとジャカルタ警察が海賊版ソフトウェアの脅威に対する教育を進めるために協業)を参照⇒https://www.techinasia.com/microsoft-indonesia-cybercrime-cybersecurity-pirated-software/

4.電子決済の改善

japasian_img0409_02

ASEANにeコマースが広がっていく中で、多くの決済はいまだオフラインで行われている。ATM送金や商品代引が依然として最も人気の決済手法だ。根本的な原因の一つとして、ベトナム、フィリピン、インドネシアの70~80%の市民が銀行口座を持っていない、という事実が挙げられる。その他の原因としてあるのは、地方の広範囲にわたる顧客認識手続の存在だ。ペイパルは昨年の報告書で以下のように述べている。

消費者は公式の身分証明証をスキャンもしくはコピーし、決済を担当する決済業者に送付しなければならない。そして、決済手続き案内までに決済業者の確認作業を数日間待たなければならない。その間、販売業者は消費者に決済準備を促しつつ、消費者が決済に二の足を踏みださないか心配することになる。

計画されているいくつかの解決策の中には、電子決済規制の改訂、そして国境をまたいだ規制を適合させることもまた含まれている。

5.より快適な物流

japasian_img0409_03

物流プロセスはASEAN各国のオンライン購買者の期待値に到達していないようだ。地理的な条件は、物流とは切って離せない課題をもたらす。しかし、その他の要因がこの課題を悪化させている。その他の要因とは、脆弱な輸送網、倉庫の不足、非効率な最終配送行程、そして悪夢のような通関プロセスである。

これらの問題に対処するため、ASEANの多くの国が輸送インフラ構築計画への投資を決定している。また、その他の主要なプレーヤーも資金投下を予定している。DHLもその一つであり、地域用倉庫を拡充し、配送網を2倍にするために1億8,000万USDを投資する予定だ。

未来に向けた重要な推奨案の1つは、地域を横断した物流システムの統合を急ぐことだ。この問題に対しては、国際的な供給網を構築するために、6ヵ国のさらなる協力体制を必要とする。

【コメント】前回に引き続き、東南アジアのeコマース発展に向けたアクションをお伝えした。3の「セキュリティ」、4の「決済」、5の「物流」のどれもが重要だが、こと東南アジアで話題に上がりやすいのは「決済」と「物流」であろう。日本ではインターネットの浸透以前にこの2つのインフラが完成していたが、多くの東南アジア諸国ではいまだ「構築中」の段階である。特に筆者が在住するインドネシアでは銀行口座を持つ人はマイノリティで、もちろんクレジットカードの普及率も低い。さらに「世界最悪」とも名高い渋滞が物流を妨げる。このあたりの消費者環境は、eコマース市場の定量的な規模に加えて「何を購入するか?」という定性的な情報につながる。海外に拠点を構えるにしろ、日本から越境で販売するにしろ、進出先の細かなインフラ状況は抑えておきたい。