• 決済
  • 連載第4回
  • 2015/6/3

東南アジアでのオンライン決済準備状況は?(中編)

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前編ではモバイルが決済の鍵になっていく可能性がある、というところまでの記載でしたが、今回はその理由に触れていきます。

銀行取引の普及

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*本グラフの銀行取引普及率(banking penetration)は、正式な金融機関での口座を保有する回答者(15歳以上)の割合を示す
**本グラフのクレジットカード普及率(credit card penetration)は、クレジットカードを保有する回答者(15歳以上)の割合を表す
Source: World Bank, 2011

高い銀行取引普及率(特にオンラインバンキング)は、オンライン決済が受け入れられるスピードを明確に速める。オンライン決済は銀行口座なしでも可能だが、電子財布に資金を供給するオンラインバンキング、デビットカード、そしてクレジットカードがあることにより、オンライン決済プラットフォームへよりアクセスしやすくなる。
ほとんどの地方銀行がオンラインバンキングを促進しており、オンライン取引のために、顧客、取引先や取引業者をつなぐための安全なプラットフォームとして機能しはじめている。銀行取引の普及率は地域によって異なる。
ほとんど全てのシンガポール人が正式な金融機関で口座を持っている一方、インドネシア人は100人のうちわずか20人にすぎない。クレジットカード普及率が38%のシンガポールと12%のマレーシアを除いて、その他の国のいずれも5%を超えておらず、全域で使用についても制限されている。

全市場共通の事象として、農村部においては銀行や正式な金融機関がほとんど、もしくはまったく存在しておらず、銀行取引の普及率はほぼゼロに等しい。

消費者の準備態勢

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*本グラフの電子決済(Electronic payment)は、請求書で支払をするか、自分の口座からお金を使って商品を購入するために、過去12ヶ月での電子決済(電信送金を含む自動的な支払またはオンラインでの支払)を使用した回答者(15歳以上)の割合を表す
Source: World Bank, 2011

消費者の準備態勢は、消費者がオンライン決済に対してどれくらいなじみ深いか、そして、望んでいるかを測定する指標だ。十分なインフラがあっても、オンライン決済は高いレベルの消費者準備なしでは発展しないだろう。
電子決済の割合は、オンライン決済に対する国の準備態勢の代理的指標である。電子決済の割合が高い国は、より新しく、より革新的なオンライン決済サービスを採用する可能性が高い。シンガポールは大差で東南アジアの他の国々をリードしている。
銀行取引普及率は東南アジアを牽引するまでに若干の時間を必要とするため、オンライン決済の成長にとってはモバイル決済の利用状況が重要である。モバイル決済により消費者はモバイルデバイスを使用した送金が可能になり、支払金額は銀行口座ではなく、モバイルアカウントから引き落とされる。

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*本グラフのモバイル決済(Mobile payment)は請求を支払うために携帯電話を使用(過去12ヶ月の送金着金)したと報告した回答者の割合を表す
Source: World Bank, 2011

フィリピンは他の東南アジアをはるかに上回りモバイル決済をリードしており、シンガポールでさえ凌いでいる。この国はモバイルマネーの最も早い先駆者である2つのサービスを生み出した。その2つとは、2001年にローンチしたSmartのSmart Moneyと2004年にローンチしたGlobeの GCashである。フィリピンの消費者は送金から請求書支払までのさまざまな取引において使用されるサービスへの迅速な理解を示した。
ベトナムはモバイル決済利用において当地域で3番目に位置し、ベトナムの消費者は、このチャネルに対して高い親近感を持ち、導入に対しても非常に意欲的である。しかし、政府や通信会社は限られたサポートしか提供しておらず、国内のチャネル革新を妨げている。
インドネシアの消費者は、モバイル決済の価値についていまだ懐疑的である。モバイル決済、それらを使用する意欲、そして現在の使用法と準備態勢において近隣諸国に後れをとっている。

eコマースの利点の1つはインターネットがつながる人たち全体を市場と捉えられることであろう。ただ、本記事文中にもあるように東南アジアの地方圏には銀行が存在していないこともまだ多く、当然銀行取引の普及率も下がる(銀行口座を持っていない人が多い)。その代替機能として期待されるのがモバイル決済である。国別の事情を見ると、意外に感じるかもしれないが、モバイル決済においてはフィリピンが東南アジアを牽引している。逆に最も遅れを取っているのがインドネシアだ。ただし、インドネシアの人口は2.5億人であり、市場ポテンシャルは大きい。インフラが整いつつある市場を攻めるか、未開の市場で大魚を狙うかは事業運営者の判断が求められるところであろう。