• 物流
  • 連載第7回
  • 2015/6/24

東南アジアのイーコマース活性化は物流発展に対する天の恵み【後編】

Indomaret-RPX-logistics-indonesia

前回から物流をテーマにした記事をご紹介しています。今回は「決済」も絡めながらインドネシア消費者を取り巻く物流環境をお伝えします。

専門化

aCommerceのようなサービスは、インドネシアの迷路のような物流市場に適合してきた。
第三者のサービス影響者と連携しながらも、これらのサービスはイーコマースのスタートアップにすぐに活用できる既成システムを提要する。コピッツによれば、すべての課題を単体で解決できる会社は存在しない、という。パッケージサイズ、配送先エリア、支払方式、スピードとコスト、これらすべてがどの方法がベストなのかを決定する要因となる。

特に代引きは変えることが難しい慣習だ。顧客の視点から考えると、現金での支払いは理想的なのだ。なぜなら、彼らは到着を確認し、実際に見たものに対してお金を払うのだから。販売者の立場に立つと、代引きは危険を伴う。

「想像してみてほしい。配達人が複数のiPhoneを抱え、数百万のインドネシアルピアも同時に運んでいる様子を。」と、RPXのAdiwinarsoは述べる。「この仕組みは配達人にも、販売者にも、我々にもリスクを与えているんだ。」

この事情により、RPXは代引きについては彼らが独自に抱える配達人を起用する。これら配達人の90%は自社の社員だ。また、これはRPXが代引きについてはインドネシア内の28都市でしか提供できていない理由でもある。

aCommerceもまた、代引きのリスクを低減しながら実現する方法を発見している。彼らの配達人は支払プロセスを写真で記録するためにスマートフォンを活用しており、購買者の自宅ですら記録させる。これらの写真は取引の証明としてアップロードされる。

このようにして、代引きをより専門的で安全な作業にしようとする試みは、代引きを普通の選択肢となるよう洗練させていく。「より形式化してくれば、代引きはより普及していくだろう。」とコピッツは述べる。タイでは70%の支払が代引きで行われる。そしてその傾向はインドネシアでも起こり得る。コピッツ、アディウィナルソは共に代引きが5年以内に大きな役割を果たすようになるだろう、と予測している。

オンライン to オフライン

2014年の8月、RPXはインドネシア全体に店舗網を持つコンビニエンスストアチェーンであるインドマレット(Indomaret)と提携を開始した。「今や、お客様はジャカルタ市内のインドマレット店舗のどこででも荷物を預けることができ、RPXを通じて配送することができる。」と、Adiwinarsoは言う。彼はこのサービスがすぐに全土に広がることを望んでいる。また、彼は将来的にインドマレットが荷物の受け取りや支払ができる場所として機能していくことを求めている。「レジもあるので代引きより安全だろう。インドマレットは夜遅くまで週末も営業しているし、消費者にとって大変便利な場所。」とAdiwinarsoは述べる。

このレジが消費者がオンラインで購入したアイテムを受け取り、支払う場所となっていくかもしれない(←トップ写真説明)

Zaloraはすでにタイ国内のセブンイレブンと提携し、荷物受取場所としてコンビニエンスストアを活用するテストを行っている。シンガポールにおいては2013年3月に現金回収場所としてセブンイレブンを活用するテストも行っている。これらはまさにRPXがインドマレットと連携してインドネシアに広げていきたいサービスそのものである。aCommerceもまた、コンビニエンスストアとの提携をテストしている。しかしコピッツは「一般に普及するほど牽引力のあるものではない。」と述べる。彼は、aCommerceがガソリンスタンドやタイにおけるアマゾン型コインロッカーとの提携を模索していることを付け加えた。これらは消費者が都合のよいタイミングで荷物にアクセスできる環境を提供する。

受け取り、支払い、返品のための物理的な店舗へのアクセスは、インドネシアの大企業がイーコマース産業に対して投資している切り札の一つとなっている。リッポー(Lippo)がサポートしているマタハリモール(MatahariMall)は、彼ら自身の持つマタハリストア(Matahari retail stores)をこれら目的のために活用する予定だ。

連結

インドネシアにおいて、aCommerceとマタハリモールの2社は共に成長していくであろう。aCommerceはマタハリモールのイーコマースオペレーションを端から端まで扱っていく、と発表している。現在までのインドネシア最大のアカウントを獲得したのだ。

「我々はすでにマタハリモールのための巨大倉庫を構築した。我々はすでにシステムを構築しており、それを活用してく。マタハリモールが1~2年の間にこれらシステムを引き継いでいくことを示した契約も締結している。」とコピッツは述べる。

これに加え、aCommerceインドネシアの元CEOであるウェナス(Wenas)が公式にCEOとしてマタハリモールに参加した。ウェナスのインドネシアでのポジションをしばらく引き継ぐため、コピッツはタイでのグループCOOとしての立場を去るだろう。物事は素早く動いていく。

そして、彼らはすぐにインドネシアでライバルに出会うかもしれない。シングポストとインドネシア最大のモバイル端末小売り企業のテリコムセル(Trikomsel)は現在インドネシアでイーコマースサービス企業をセッティングしている。結果として、日本のソフトバンクは間接的に1億2千万USドルのテリコムセル株を購入したこととなる。つまり、Lazadaインドネシアやマタハリモールのようなネームがインドネシアの王座をめぐって戦う一方で、影ではaCommerceやシングポスト、テリコムセルのようなネームがディーラーの腕となることを狙って銃の打ち合いを始めているのである。

東南アジア全体でも言えることですが、インドネシアは特に現金主義の傾向が強いように感じます。クレジットカードはもとより、銀行口座の普及率が低いことが背景にあります。
イーコマース事業者が現金決済を導入する際、記事内にあるようなパートナーやコンビニの活用は非常に重要な役割を果たします。特にコンビニの数は年々伸びておりますが、店舗数の観点でもサービスの幅の観点でもまだまだ伸びしろがあります。インドネシア在住の一人として、今後コンビニが日本のように様々な機能を持つことで、物流や決済の課題を大きく解決してくれることを期待しています。