• 決済
  • 連載第7回
  • 2015/7/6

「Amazonログイン&ペイメント」の特徴と課題

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先月、モール事業者のID決済に関しての記事を書きましたが、タイミングよく(笑)、Amazonが「Amazonログイン&ペイメント」の提供を開始しました。新聞や雑誌、Webなどでの取り上げ具合を見るだけで、その反響の大きさが伝わってきますが、今回は、同サービスの可能性についてご紹介します。

「Amazon.co.jp」のアカウントでログイン、配送情報の受け渡しも可能

「Amazonログイン&ペイメント」の最大の特徴としては、「Amazon.co.jp」のアカウントでログインでき、そのアカウントで登録している配送先情報やクレジットカードの情報を利用できる点です。配送先情報については、「Amazon.co.jp」のIDとパスワードでログインして、その情報を外部企業への提供を利用者が認めることにより、住所等の必要な情報を自社サイトへ受け渡す仕組みとなります。こういった仕組みは「Amazon.co.jpが国内のモールで初めて」というような記事も見かけましたが、実際には“公式には初めて”であり、一部のモール事業者のID決済サービスでも加盟店との取り決めにより、対応は可能となっているようです。

現状の導入方法については、以下の3通りがあります。

  • 自社で開発
  • フラクタのECシステム「FRACTA NODE(フラクタ・ノード)」の利用
  • フューチャーショップの「FutureShop2」が9月から利用できる

Amazon自身、サービスを発表したばかりであり、今後はECサイト構築システムおよびプラットフォーマーとの連携は増えていくと考えます。また、決済処理事業者との連携も期待します。たとえば、ソフトバンク・ペイメント・サービスやベリトランスといった企業は、ID決済の導入を強化しています。すでにAmazonと接触した企業もあるという情報もあり、2016年度以降は決済処理事業者のマルチペイメントサービスに組み込まれることで、売り上げを一元管理するといったことも行われると予想します。

劇団四季、出前館で採用

国内企業への導入として、まずは四季が運営する「劇団四季」および夢の街創造委員会が運営する「出前館」の2つのサイトに同サービスを導入しました。「劇団四季」では、公演チケット購入時に、Amazonアカウントでログインし、支払いが可能となります。また、「出前館」のサイトでは、出前サービスを提供する各店舗で、Amazonアカウントを使ってログインし、決済が可能です。

そのほかの特徴として、Amazonの利用者のクレジットカード情報は、Amazonのセキュリティシステムにて管理され、外部へ渡ることはないそうです。クレジットカード情報の管理を気にする利用者が多いことを考えると、安心感があるのではないでしょうか(ただ、IDとパスワード自体が漏洩する番号盗用が起こっているので、その危険性あり)。

Amazonの発表によると、実際に米国で同サービスを導入しているサイトでは、注文成約率が10%~34%改善した販売事業者がいるそうです。簡単さによるドロップ率の低減は、他のモール事業と同様に成果があると思われます。

Amazonならではの強みとしては、Amazonマーケットプレイスの保証が適用される点も挙げられます。たとえば、①Amazonペイメントを通して商品を購入したが注文した商品が届かなかった、②注文商品が届いたものの、出品者の説明と著しくことなる商品である、③商品を返品した、または返品を希望したものの、出品者からの返信がない――といった際に保証が適用されます(http://www.amazon.co.jp/gp/help/customer/display.html/ref=hp_left_cn?ie=UTF8&nodeId=200335590#1

継続課金、ポイント付与は非対応

メディアの反響をみると「Amazonログイン&ペイメント」の今後は順風満帆のような印象を受けます。ただ、先行してサービスを行っている楽天、リクルートホールディングス、ヤフーといった企業も地道に実績を積み重ねている状況です。当然、Amazonがサービスを開始したことにより、ID決済サービスの認知が急激に高まったと思われますが、普及に向けてはさらなる機能拡充が必要な気がしています。

まずは、リクルートホールディングスの「リクルートかんたん支払い」が導入しているような継続課金への対応です(簡易継続課金〈月額固定型〉を導入)。日本の通販事業者では継続課金へのニーズが高く、対応を期待する声があがるでしょう。

また、利用者の背中を押す意味でも「ポイント付与」のメリットも期待したいところです。他のモール事業者のID決済サービスでは、共通ポイントが獲得できます。原資の負担は、ID決済を導入した加盟店が負うことになりますが、先行する楽天ID決済では「楽天スーパーポイント」がたまり、利用できるメリットがあり、利用の拡大に貢献しているそうです。

上記のような課題を解決することで、さらなる利便性の拡大に期待したいところです。ただ、日本でも月間4,000万人の利用者がいるAmazonの会員を送客可能な「Amazonログイン&ペイメント」は大きなポテンシャルを秘めていることは間違いないでしょう。

著者紹介

秋山 恭平
  • 株式会社ネットプロテクションズ
  • マーケティング部
  • マネージャー
  • bnr_air
  • bnr_atobarai
  • bnr_frex

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