• 越境EC
  • 連載第3回
  • 2015/8/24

中国の通販市場に日本製商品の活路はあるのか?【インタビュー前編】

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みなさま、こんにちは!
ネットプロテクションズ 渡辺です!

前編では、中国の通販市場は、まだまだ期待できるとお伝えしました。
今回は、中国国内からみた通販市場について、弊社の中国人社員にインタビューし、よりリアルな現地の実情をお届けしたいと思います。

■インタビュイー紹介

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劉 昱(リュウイク)さん
中国貴州省生まれ
大学を卒業し、2008年に来日。IT・人材業を経て2013年、中国で起業。2014年に再度来日し、ネットプロテクションズに入社。

渡辺)中国の通販市場は急速に成長していると言われています。現地からみた通販市場の実情はいかがですか?

劉)中国も日本と同じく、90年代後半に小さな通販サイトが立ち上がり始めていました。アリババなど現在の大手ネット通販が始まったのも同時期になります。その当時アメリカで有名なeBayが中国国内の企業を買収してきました。現在、中国国内でeBayの名前を聞く機会は減りましたが、参入してきた当時は非常に大きな企業でした。2000年くらいに日本の通販市場にもamazonが参入しています。また楽天がそれくらいの時期に立ち上がっていますね。

中国の通販市場が拡大する起爆点となったのは、通販サイトの店舗数が増えてきた2003年に流行したSARSでした。中国国内ではSARSの感染拡大を防ぐために外出が禁止されており、当然のことながら国民は「どうやって買い物するの?」と思います。そんなニーズに応える形でインターネット通販が急速に広まりました。中国通販最大手のアリババは、この時期に本業であったBtoBだけでなくCtoC事業を始め、事業を拡大させています。今では日本の平均EC利用率が4%なのに対し、中国は平均10%程度です。さらに中国の沿岸部なら、EC利用率は30%以上になります。

渡辺)他の先進国と違いITの発展と流通などのインフラが同時に発展してきたことが、中国の通販市場が急速成長した要因とみられていますが、流通網も発展してきましたか?

劉)中国では日本のようにインフラが整備されてからITの発展が進んだのではなく、インフラを整えながらITの仕組みを作っていく機会が多かったように思います。物流会社も2000年代に急速に増え始めてはいたものの、物流網があまり整備されておらず、郵政による運送が主流でした。郵政といってもドアtoドアの運搬をするのではなく、郵便物は郵便拠点まで届き、受取人は郵便拠点まで郵便物を受け取りに行っていました。都市圏では、自宅ではなく勤務先に配達先を指定します。勤務先はある程度規模もあるので、当時でも、郵便物がきちんと届いていました。届いた郵便物はビルの管理人がまとめて受け取り、その後、社員に配る。そんな感じでどうにか物流が回っていました。

現在、中国内地最大の物流会社である順豊(じゅんほう)エクスプレス(英語:SF Express)という企業が、安価で中国国内のどこへでも配送が可能で、サービスも良いことから、中国の通販市場の業界基準として存在しています。年商は4~5000億円くらいです。中国全体での年間の配送数は約100億件あり、今年には120億件近くなると言われています。国民1人あたりが、年間10件の配送依頼をしていることとなります。そんな膨大な配送数の中でも順豊エクスプレスが大きな割合を占めています。20年前の中国であれば、郵政が大きな割合だったのですが、年々と民間企業の占める割合も増えてきています。

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渡辺)お話を聞くと中国では配送業者が多く存在しているそうですが、競争によって配送コストは下がってきていますか?

劉)省の間は、300~400km位離れているのですが、洋服1枚くらいを箱詰したものだと配送費用は5元(100円相当)で済みます。さらに長距離の3000~4000kmであっても配送費用は12元(240円相当)程度で届けることが可能です。配達スピードは業者によって差がありますが、都市間の運搬であれば4日以内で商品が着きます。

蛇足になりますが、中国の通販サイトから海外配送はできません。まだ海外からの注文が少ないことが原因だと考えています。専門の業者が海外配送できる仕組みを作ってはいるものの、海外配送の料金が高く、普及するには至っていません。

渡辺)凄いですね。正直、驚いています。日本だと離島への輸送となると1000円はかかります。都内での輸送だとしても600円程度、配送費用がかかってしまいます。

劉)中国は、配送コストが大きいとユーザーに使われなくなってしまいますね。最近、中国の通販市場は価格競争がもっと過激になっていて、服1着を配送まで含めて9.9元(200円相当)でやってしまう所もあります。もちろん利益を上げるための手段ではなく、顧客獲得のためのプロモーションの一環にはなるのですが。ただし、配送コストが極限まで下がっていなければ、こういったプロモーションはできません。

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配送だけでなく、決済手段にも特色があります。中国では、クレジットカードの普及率が日本ほど高くありません。アリペイのような第三者保証決済が利用されています。アリペイはBtoB決済のために作られましたが、2003年以降CtoC、BtoCなどでも利用できるようになりました。特定の銀行口座を開設すれば、いつでも、さらに手数料無料で利用できます。これはアリペイ自身が14日間一部資産を凍結する仕組みによって一時的に資産を得て、それを投資に回すことで利益を上げるというビジネスモデルだからこそ出来ることですね。

近年はクレジットカードの利用率が少しずつ増えているものの、通信販売における決済の16%がクレジットカード、40%がアリペイ、20%がテンペイ(テンセントの決済サービス)となっており、企業が提供しているサービスが決済手段の大部分を占めています。

渡辺)テンセントも通販市場に進出しているのですね。
※テンセント…コミュニケーションツールQQなどを提供している会社。ユーザーは5億人。

劉)アリババに対抗するためにテンセントもモールを立ち上げたりしています。現状、モールは小さいのですが、何といってもユーザー数が5億と圧倒的に多いです。しかし、BtoCの領域においては半分、CtoCの領域ではほとんどの市場をタオバオが占めています。

渡辺)各モールの倉庫事情はどうなのですか?

劉)倉庫を作りましょうというトレンドはあるものの現状対応できているのは大企業のみです。物流を整えるのに力を注いできて、日本のように倉庫業務をアウトソーシングできる企業がないですからね。

テンセントが出資している中国通販No.2のジンドンは、中国の大都市に倉庫をもっており、さらに中国各地に倉庫をつくろうとしています。ジンドンのように倉庫を持っている企業は、日本のamazonと変わらないスピードで商品が届くようになっています。

 

後編ではさらに、中国人消費者が購買活動の際に意識しているポイントなどを伺ったインタビューをお伝えする予定です。お楽しみに!