• 越境EC
  • 連載第2回
  • 2015/10/7

ベトナムにおけるEC市場の現状【中編】

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前編では、ベトナムのEC業界における、市場と現地のプレイヤーの動向をご紹介しました。
今回は、ベトナムで育った私から見たベトナムのEC市場の特徴と最近の決済動向を紹介したいと思います。

ベトナムでは、私が物心つく頃から、テレビニュースや新聞などであらゆる販売形態における商品の偽物や、食品衛生に関するトラブルのニュースが日々流れていました。実際に、昔も今も偽物の商品が市場に大量に出回っています(※1)。そんな状況の中、購入者は企業のサービスや商品を疑い、企業は購入者の未払いや商品交換などの詐欺を疑うことが、ベトナムでは当たり前になっています。私の家族も、国内の市場で買う野菜と肉が信頼出来ないため、自分で栽培する、又は知り合いが海外から持ち帰ったものを購入します。ベトナムの食品は、賞味期限が切れていたり、健康に悪影響のある薬品が付着していたりするためです。そのようなことから、ベトナムでは、利用者と企業の信頼がとても低くベトナムEC市場の発展には、まだまだ課題が多く残っています。

決済方法

以前、NP通信でも「東南アジアECの課題」を紹介しましたが、ベトナム単体で見ても東南アジアの多くの国と同じく、EC市場において、決済方法が課題になっています。

現在、ベトナムでも着払い、前払い(プリペイドカード、銀行振込/ATM)と電子ウォレットと4つの決済方法が利用されています。ベトナム産業貿易省が出した2014年のレポートによると、インターネットで買い物をするときに使う決済手段で、着払いと答えた人は64%で、電子ウォレット:37%、プリペイドカード:19%、銀行振り込/ATMは14%でした。それぞれにメリットとデメリットがあり、利用者と企業の様々なニーズを完全に満たすことができておらず、EC市場の発展における阻害要因にもなっています。実際にそれらの決済方法が現地でどう使われているかを詳しくご紹介します。

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出典元:よく使われている決済方法の調査結果

着払い
ベトナムのEC市場で着払いが最も利用されている理由は、購入者と企業との信頼性が低いため、購入者の商品を確認してから支払いたいというニーズと、企業の未払いを防止するために直接お金を回収したいというニーズが存在するためだと考えられます。2年前から、配送業者が代引きサービスを提供し始めており、急速に普及してきています。しかし、着払いにもデメリットはあります。購入者は商品を返品したいと思っても、既に支払った料金が返金されないのではという懸念点があります。

前払い
代引きの次に普及されている決済手段は前払いです。前払いの手段としては、プリペイドカードと銀行振込/ATMがあります。ベトナムのEC市場で普及している理由は、プリペイドカードは携帯電話に搭載されていて、銀行振込/ATMもすでに普及されており、両方が直接会わなくても支払ができ、利便性が高いためです。EC事業者にとってのメリットは、出荷前に入金確認できるので、未回収リスクがゼロだからです。しかし、前述の通り、購入者とEC事業者の信頼性が低い環境で、前払いで払う購入者は不安な気持ちになるので、最近は銀行振込/ATM入金のシェアが落ち、プリペイドカードの利用率も横ばいです。

電子ウォレット
新しい決済サービスとして、電子ウォレットの利用も開始しました。電子ウォレットのサービスを提供する会社は、購入者とEC事業者の両方から信頼を得ており、間に入り決済を代行しています。電子ウォレットによる決済は、EC事業者から購入者に商品が届いてからEC事業者に振り込まれる仕組みのため、商品が手元に届かないリスクを無くすことができます。また、EC事業者は電子ウォレットの会社から確実に料金が支払われるので、未払いのリスクも防止できます。よって、この決済方法は購入者とEC事業者間の信頼性の問題を解決できる強みがあります。一方で、電子ウォレットと連携しているEC事業者はまだ数が少なく、前払い(プリペイド)の一種なので、機能に限界があります。しかし、この決済方法は現地市場の利用者と企業の信頼性に対する課題を解決できるため、昨今急激に普及してきており、これからもEC市場の発展とともにサービスが広まっていくと考えています。

今回は、ベトナムのEC市場の特徴と決済事情についてお伝えしました。ベトナムでは、電子ウォレット等、新しい決済手段が導入されつつありますが、全ての問題が解決できているわけではありません。EC市場の発展のためには、現地特有の商習慣に対応した決済方法が必要になってくると思われます。次回は、ベトナムEC市場特集の最終回として、ベトナムEC市場の傾向についてお伝えします。