• 越境EC
  • 連載第3回
  • 2015/10/8

ベトナムにおけるEC市場の現状【後編】

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前回は、ベトナムEC市場の特徴と決済事情についてお伝えしました。
続きまして、最終回となる今回は流通経路や流通商品など、現地のEC市場の傾向をお伝えします。

1.ベトナムEC事業者の偏在

東南アジアのEC市場の発展において、決済方法以外に物流の問題も障壁となっていました。例えば、EC事業に必要なデータ連携や、スピーディーな配送などが行われていませんでした。今までは300km(東京から名古屋まで)の配送に1週間程度時間がかかっていましたが、最近は、業界各社が宅急便のサービスを開始したため、配送時間が短縮され、物流面で発生していた配送スピード問題は解決されつつあります。ベトナムで最も配達スピードの早い宅急便サービスは、バイク便です。ただし、バイク便の普及は、最も大きな都市であるハノイとホーチミンに限られています。物流に加え、ECに必要であるインターネット網が整備されていることもあり、ベトナムEC事業者は、ハノイとホーチミンに集まっています。

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グラフ1:地方別EC事業者分配(※1)

ベトナムでは、資本金が少なく済むため、EC事業を立ち上げ、成功した後に、ハノイとホーチミンを中心に実店舗を開き、対面販売形式を行う傾向があります。利用者と企業との信頼性が低いベトナムのEC市場では、実店舗を持ち、商品を実際に確認できる場を持つことは理にかなっていると思われます。しかし、それらの実店舗はまだ規模が小さく、ベトナム全土に展開するには至っていません。ハノイとホーチミン以外の地方都市では、消費者から距離が離れているため、郵送料が高額になってしまうため、ECが普及しておりませんが、将来的に経済が発展した際には、地方にもニーズが生まれると考えられます。

2.ECでよく売られている商品

ベトナムEC市場で、どんな商品が購入されているかをベトナム産業貿易省が、購入者に対してアンケート調査を行いました。その結果は、以下のグラフの通りです。

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グラフ2:購入者がECで購入した経験がある商品(※2)

ECの利便性が認知されてきているため、ファッションだけではなく、本や家電などの売上も2013年から2014年にかけて伸びています。実際にECで買うときに、購入者は偽造品や品質が悪いなどの懸念があり、偽造品であるか、食品衛生上問題がないかを簡単に確認できる商品が流通しています。例えば、家電商品だとバーコードで偽造品であるかを簡単に確認できるため、近年売上が伸びてきています。そして、航空券、映画チケットなど、偽造されにくい商品も購入されていますが、購入率はそれほど伸びてはいません。商品自体のニーズが、本や家電等の商品に比べて高くないからです。

一方で、偽造品との判別や品質確認が取りづらいファッション商品が、最も良く購入されています。理由としては、主に3点あります。1点目は、ECでは商品の種類が豊富で、検索が簡易。2点目は、偽物の商品でもデザインが良く、値段が安い。3点目は、ファッション商品を販売しているECショップは、規模が小さく若者が個人事業主として経営しているスタートアップが多くみられます。そのため、最新の流行をオリジナル商品として販売しており、同年代の若い人からの需要が高いからです。ただ、ファッション商品を扱うECサイトにアクセスする利用者は、最近のトレンドを把握するためにだけに、見ている人も多く、このような利用者を、どのように購入者に変えていくかは、ベトナムEC業界の今後の課題となると思われます。

全3回の連載で、ベトナムEC市場の現状と課題をお伝えしてきました。現地の商習慣からなる問題がEC市場の発展を妨げてきましたが、決済手段や物流の発達により、徐々に解決されつつあります。これからのベトナムEC市場は、ベトナムの経済発展も重なり、大きな発展を遂げるのではないかと予想しています。日本ではニュースになることも少ないですが、ベトナムのEC業界にも是非注目してみてください。

(※1,2)
出典元:http://www.moit.gov.vn/Images/editor/files/Bao%20cao%20TMDT%202014_final.pdf