• 決済
  • 連載第17回
  • 2016/2/4

楽天ID決済

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2016年、「ID決済(チェックアウト)」が大きく動くかもしれません。以前の投稿で、「Amazon&ログインペイメント」をはじめとするID決済サービスの動向を紹介しましたが、2015年末に楽天が記者会見を開催し、新たにショッピングカート事業者4社との提携を発表しました。これにより、10万以上のサイトで楽天ID決済が利用可能になるそうです。

4つのショッピングカートと新規提携

国内最大級のショッピングモール「楽天市場」ですが、2015年からは楽天外部でもオープン戦略として楽天ID決済を展開しています。楽天市場の出店案内には、2014年までは楽天ID決済の案内は載せられていませんでしたが、2015年からは掲載を開始しており、EC加盟店の目にも留まりやすくなりました。

これまで、ショッピングカートとの連携では、5社と提携していましたが、2016年以降は
「カラーミーショップ」(GMOペパボ)、「MakeShop」(GMOメイクショップ)、「たまごリピート」(テモナ)、「FutureShop2」(フューチャーショップ)で利用できるようになります。

楽天ID決済は、楽天会員が楽天市場や楽天トラベルなど、グループ以外のサイトでもオンライン決済できるサービスとなります。会員は、IDとパスワードでログインできる楽天ID決済により、普段利用しているクレジットカードと紐づけてスムーズに決済することが可能です。また、ECサイトにとっては、決済までの導線がスムーズになり、かご落ちの防止につながります。さらに、ECサイトにはクレジットカード情報が渡らないため、カード情報を保管するリスクを防ぐことができます。

現在、複数のID決済サービスが展開されていますが、楽天が一番強みとしているのは「楽天スーパーポイント」が外部ECサイトの利用で便利に貯まることが挙げられます。楽天スーパーポイントは、インターネットのポイントサービスとしては、最も力のあるプログラムと言えます。消費者にとっては、楽天のサービス同様に、100円で1ポイントが貯まるため、お得感が味わえます。また、EC加盟店にとっては、原資の負担は必要になるものの、“2~5倍等、多くポイントが貯まる”ポイントアップキャンペーンを展開することが可能です。さらに、楽天会員がログインしたままであれば、楽天スーパーポイントの残高が外部サイトにも表示される「ポイントパーツ」機能により、消費者の購買を促しています。たとえば、TポイントやPontaといった共通ポイントサービスにより、「このコンビニで買い物しよう」といった差別化をリアル店舗で与えるのと同様に、“楽天スーパーポイントが貯まるからこのサイトで購入したい”というマーケティング戦略に活用できるとしています。

IDとパスワードだけで会員登録を行える機能は個別に提供

報道によると、楽天では2015年1月から楽天ID決済の営業を強化しているため、2015年5月にスタートしたAmazonログイン&ペイメントの影響を受けての営業強化ではないとしています。ただ、楽天としてはAmazonの動きを事前に察知していたと思われます。知り合いのショッピングカート提供企業に話を伺ったところ、Amazonログイン&ペイメントの良さは、AmazonのIDとパスワードだけで会員登録を行える機能がベースになっている点であるとしています。楽天でも同様の仕組みは「かんたん登録オプション」として個別に提供していますが、利用には審査が必要となり、Amazonのように広く開放することは現時点でないようです。

楽天ID決済では基本的に、支払い選択画面で、クレジットカードなどの他の手段と並べられた楽天ID決済を選択し、楽天IDとパスワードでログインしてから決済に移る流れとなるため、Amazonログイン&ペイメントに比べ、支払いまでのプロセスに若干時間がかかることは否定できません。

ただし、オイシックスなどではIDとパスワードで会員登録を行える機能をすでに提供しており、好評を得ているという声もあるため、今後はAmazonログイン&ペイメントを導入するECサイトで、その利便性を実感している企業などが楽天ID決済のかんたん登録オプション採用を求めると思われます。

現在、楽天ID決済の契約件数は3,000件以上とのこと。報道によると、2015年10月21日に導入を発表したEストアーでも1,500社の申し込みがあるなど、導入は急拡大しています。2015年第三四半期の流通総額をみても、昨年対比で+57%を記録しており、2016年以降も導入サイトや取扱額は堅調な伸びを見せるでしょう。

手数料は他のID決済サービスよりも高い5%

気になる、楽天ID決済の手数料は5%。これは、3.6%と公表しているヤフーの「Yahoo!ウォレット」、非公表ながら楽天よりも0.5~1%ほど手数料が低いとされるAmazonログイン&ペイメントよりも高い数字といえます。ただ、純粋な手数料は4%で、1%はポイント原資となるそうです。そのため、楽天スーパーポイントが貯まる付加価値を考えると、決して高い数字ではないと言えるのかもしれません。

さらなる普及に向けては、消費者への認知が挙げられます。たとえば、1億以上のアカウントを持つ楽天ですが、外部でも便利にIDとパスワードで決済できることを認知している人は、決して多くはないと思われます。今後は、楽天外でも便利にポイントが貯まるというマーケティング展開が求められると思いますが、リアル店舗でも共通してポイントが貯まる「楽天ポイントカード」などと絡めた、オープン戦略としてのマーケティング展開に期待したいです。

イメージ画像(出典:楽天)

ECサイトは、楽天会員の決済情報入力の省略により、決済時の転換率の向上を図れるほか、新規ユーザーの離脱率の低減やリピーターの獲得などの効果を期待できる

著者紹介

秋山 恭平
  • 株式会社ネットプロテクションズ
  • マーケティング部
  • マネージャー
  • bnr_air
  • bnr_atobarai
  • bnr_frex

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