• 決済
  • 連載第19回
  • 2016/4/4

LINEが「LINE Pay」活性化に向け、プリペイドカードを発行開始

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LINEが「LINE Pay」活性化に向け、プリペイドカードを発行開始
スマホによる決済の浸透の狭間をカードで埋める戦略を展開

LINEは、2016年3月24日に開催された「LINE CONFERENCE TOKYO 2016」において、LINE Payの機能拡張に加え、オフライン加盟店でも利用できるJCBプリペイドカード「LINE Payカード」の発行を開始すると発表しました。LINEでは、国内外3,000万店で利用できるプリペイドカードの発行により、LINE Payの活性化を図る狙いです。

linepay-キャプション1「LINE Payカード」は4種類のカードを発行。日本国内6,800万人のLINEユーザーはLINEアプリ内にあるLINE Payのホーム画面から申し込みできる

リアル店舗でのQRコード決済を開始

LINEの子会社のLINE Payでは、2014年12月16日から、LINEを通じてユーザー間での送金や、提携サービス・店舗での決済を行うことができるモバイル送金・決済サービス「LINE Pay」を提供しています。サービス開始当初はテレビCMを配信するなど、積極的な告知を行ってきました。

ただし、LINEはコミュニケーションを図る手段として浸透してきたため、Amazonの「Amazonログイン&Payment」や楽天の「楽天ID決済」に比べ、物販で利用するという動機づけが弱い課題がありました。LINE CONFERENCE TOKYO 2016でも新規加盟店の追加、営業を行う決済代行事業者との連携などが発表されましたが、具体的な取扱額は公表されず、伸び悩んでいると予想されます。また、LINEの特性を利用して気軽に個人間送金を行う仕組みも用意していますが、こちらもまだまだ本格的な普及には至っていません。

LINEでは、利用者の利便性を高めるため、みずほ銀行、三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行の都市銀行を始め、横浜銀行、滋賀銀行、伊予銀行、百五銀行、十六銀行の地方銀行と連携するなど、気軽にチャージできる環境の整備に力を入れています。また、銀行口座を連携させているユーザー限定で、残高が一定額を下回ると自動的に金額がチャージされる「オートチャージ機能」も開始。チャージ手段を整えることで、利用の拡大を目指しています。

オンラインに加え、リクルートライフスタイルと連携し、リアルの店舗において、バーコード決済を今春から開始。以前、本連載で紹介した中国の「Alipay」、「WeChat Payment」と同様に、消費者はスマートフォンに表示されたQRコードを店舗に設置されたタブレットなどにかざすと決済が完了します。中国では、QRコードを活用したモバイル決済は伸びており、現地での加盟店が拡大しています。国内でもインバウンド対応としてビックカメラ、パルコ等で利用が始まっていますが、日本人に向けた取り組みとしては、まさに1からのスタートとなります。そのため、消費者への浸透には店舗と連携したキャンペーンの展開など、相当の努力が必要となるでしょう。LINEとしても、一気に同サービスが普及するとは考えていないと思われます。

スマホによる対面決済の課題をJCBプリペイドで解消へ

LINEでは、スマートフォン一台でオンライン及びオフラインの決済が完結する世界を理想としていますが、チャージ環境の整備、スマートフォンの端末依存、店舗のタブレットの普及、店員の教育など、複数の課題があることも説明会で取り上げられました。

そのため、LINE Payを活性化させる現実的な施策としてプリペイドカード「LINE Pay カード」の発行に至ったそうです。同カードは、事前にコンビニ端末や銀行口座からLINE Pay残高にチャージ(入金)すると、国内・海外のJCB加盟店約3,000万店での支払いに利用できるもの。

LINEユーザーは若年層が多いことも特徴ですが、クレジットカードと異なり申込時の与信審査や年齢制限がなく、入会金・年会費無料で気軽に持つことが可能です。また、LINE Payと連動しており、店舗でカードを利用すると、利用履歴がLINEにリアルタイムに送られてくるそうです。

ただ、単純に“プリペイドカードとして決済に利用できる”だけですと、消費者にとってそれほど魅力的ではありません。そのため、利用金額の2%分(100円につき2ポイント)の「LINE ポイント」が貯まるという“業界最高水準”の特典を売りにしています。

貯めたポイントは、1,000ポイント以上で自身のLINE Pay残高に電子マネーとして交換可能です。また、LINE STOREやLINE FRIENDS 公式オンラインショップで利用できるほか、「Amazonギフト券」「nanacoポイント」「Pontaポイント」「WAONポイント」といったポイントにも交換できるサービスも開始する予定となっています。

従来、オンラインに閉じていた利用範囲の拡大、チャージ範囲の拡大、国内外の加盟店で利用できる利便性、そして高還元のポイントサービス。LINE Payの魅力は従来よりも飛躍的に高まったと言えなくもありません。LINEの発表によると、LINE Payカードの申込み件数が受付開始から3日間(72時間)で10万枚を達成したように、滑り出しは順調なようです。

手数料が薄利なプリペイドビジネスでの勝算は?

ただし、まだ楽観視はできません。LINE同様にプリペイドカードを発行し、ポイントサービスを売りに発行枚数を拡大させたケースとしてKDDIの「au WALLET」がありますが、少額決済が中心となり、手数料収益は薄利のため、発行枚数は多いものの収益的には厳しい状況となっています。KDDIの場合、au WALLETによる収益というよりは、携帯電話の契約者をつなぎとめる目的もあると思いますが、LINEも若年層の利用者が多いため、高額な支払いにはそれほど利用されないと考えられます。そのため、2%のポイント原資が将来的に重荷になる可能性もあります。

今後は、プリペイドカードをはじめとしたLINE Payを切り口として、LINE STOREやLINE FRIENDS 公式オンラインショップなど、LINEのサービス利用に如何につなげられるかがカギとなると思われます。

表主要カードと比べて「LINE Payカード」のポイント還元率は高い
出典:LINE

著者紹介

秋山 恭平
  • 株式会社ネットプロテクションズ
  • マーケティング部
  • マネージャー
  • bnr_air
  • bnr_atobarai
  • bnr_frex

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