• 決済
  • 連載第23回
  • 2016/9/2

EC決済市場は2020年に15兆を超える規模まで拡大?

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EC決済サービスの利用は年々広がっていますが、先日、矢野経済研究所から2020年度のEC決済サービス市場は、15兆6,288億円まで拡大すると発表されました。今回は同調査結果と日本のEC決済サービスの状況を紹介します。

消費者が場所を選ばずに買い物ができる環境が整う

矢野経済研究所の調査におけるEC決済サービスとは、“ECサイト運営事業者と決済サービス提供事業者との間に入り、EC サイト運営事業者において発生する決済業務を代行するサービス”を指しています。つまり、弊社のような「後払い」の提供事業者もそれに含まれます。

経済産業省の調査によると、2014年のBtoC-EC市場規模は、12兆7,970億円で前年比 14.6%の増加となりました。矢野経済研究所の調査では、2014年度のEC決済サービス市場は前年度比12.2%増の8兆3,138億円と拡大しており、この数値を単純に当てはめれば、EC決済サービス市場は65%弱の比率となります。

同調査によると、近年は、インターネットショッピングの浸透やスマートフォンの普及によって、消費者が場所を選ばずに買い物ができる環境が整ってきたとしています。例えば、キャリア決済、楽天やAmazonのサイトでは、クレジットカード番号の入力なしに商品が購入できるサービスが行われており、電車などの移動中でも買い物ができる環境が整ってきました。また、コンビニエンスストアで販売されている「iTunes Card」や「Google Playギフトカード」などを購入して、ゲームなどを楽しむ人も増えています。

ネットとリアルを連携させたオムニチャネル化の進展

カメラのキタムラやセブン&アイ・ホールディングスなど、リアル店舗の強みを生かしたO2O(Online to Offline)やオムニチャネルへの取り組みを行う企業にも注目が集まっています。例えば、セブン&アイ・ホールディングスの「omni7(オムニセブン)」にサービスを提供する決済代行事業者のペイジェントでは、スマートフォン決済サービス「Coiney(コイニー)」を提供するコイニーと業務提携契約を締結し、対面・非対面決済を包括提供する新サービス「maneco(マネコ)」を提供しています。また、ベリトランスやソフトバンク・ペイメント・サービス(SBPS)でも対面・非対面決済サービスを提供しているように、ECサイトのオムニチャネル化は重要なテーマとなっています。

近年では、決済サービスを導入する加盟店も広がっており、家賃、教育、冠婚葬祭などをカード決済する人が増えてきました。例えば、大東建物管理は、2015年8月に賃貸住宅に特化したクレジットカード決済代行会社「ハウスペイメント株式会社」を設立。同社の決済サービスは、前述のSBPSが提供しています。また、経済産業省のデータはBtoC-EC市場規模のため、含まれていないと思いますが、公金決済をクレジット決済やPay-easyで行うケースも見受けられます。

今後成長が期待できる越境EC

同調査では越境ECについても触れられています。越境ECはセミナーなどでは盛り上がりを見せていますが、実際に展開するとなると、物流や現地の法規制など、さまざまな課題が顕在化しています。そのため、それほど成功している企業は多くはありません。ただし、訪日外国人のインバウンド需要の増加により、今後、帰国した人が商品を購入するといった消費行動を喚起することが十分にあり得るとしています。確かに、日本では少子高齢化が指摘されており、クレジットカードの利用者は減少しています。そのため、越境ECに早くから着手することは、今後のEC市場の発展に向け、重要であると思われます。今後は、海外向けコンテンツ販売のための多通貨決済を採用するケースも増えるでしょう。

そのほか、FinTech系スタートアップが注目されていますが、多くの新決済サービスが登場しています。具体的には、従来よりも手数料率が低い決済サービスや、携帯電話番号やメールアドレスを活用して決済を可能とする後払いサービスなどです。さらに、現状では、加盟店向けのサービスが主流であるが、今後はIDを活用して、その利用履歴やインターネット上の情報に基づいた与信情報で決済ができるサービスといったイシュア(カード発行会社)向けの決済サービスの展開が期待されているとしています。

コンビニ受け取りなどのサービスも増加

また、商品受取方法の多様化も挙げています。具体的には、駅に設置した専用ボックスで好きな時間に商品を受け取ることができるサービスや、24時間365日利用できるコンビニエンスストアなどと提携し、自宅の近くのコンビニエンスストアで商品を受け取ることができるサービスなどが徐々に増加しているそうです。

矢野経済研究所の調査では、2020年の東京五輪に向けたキャッシュレス化の推進、オムニチャネルの進展や商品受取方法の多様化、越境ECの拡大などにより、EC市場は引き続き伸長するとしており、2020年度のEC決済サービス市場は、現在の15兆6,288億円まで拡大すると予測しています。

近年の日本のEC市場を見ると、成長しているものの、中国ほどの急激なカーブは描いていません。恐らく同調査には期待値も含まれていると想定されますが、これまでの成長率を加味すると、15兆円は非常に大きな目標であると言えなくもありません。ただし、他社の調査によると、「ID決済」と「後払い」は今後大きな成長が期待できるという結果もありますので、弊社では「NP後払い」を通して、EC決済市場の伸びに貢献していきたいと考えています。

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ペイジェントがコイニーと連携して展開する「maneco(マネコ)」。マネコの管理画面では、対面と非対面の売り上げを一覧表示でき、グラフで見ることができるほか、顧客登録や継続課金の作成も可能

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大東建託の子会社である大東建物管理では、「ハウスペイメント株式会社」を設立し、2016年春より大東建託グループが一括借り上げする建物だけではなく、全国の不動産会社が扱う建物なども対象にサービスを提供

著者紹介

秋山 恭平
  • 株式会社ネットプロテクションズ
  • マーケティング部
  • マネージャー
  • bnr_air
  • bnr_atobarai
  • bnr_frex

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