• 決済
  • 連載第28回
  • 2016/11/8
  • 連載EC決済のイマとミライ

中国版LINE、「WeChat」のモバイル決済サービスが国内普及の兆し

ネットスターズは「WeChat Pay」の導入店舗が500店舗を突破(出典:ネットスターズ)

以前、本連載で「Alipay(支付宝)」のモバイル決済サービスを紹介しましたが、今回は「WeChat Pay(ウィーチャット・ペイ)」について紹介します。WeChat Payは、2013年8月から中国でサービスが行われているモバイル決済サービスとなり、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、百貨店、飲食店など、全国30万店で利用可能です。日本でも徐々に利用店舗が増加しており、中国現地での勢いはAlipayを凌ぐともいわれています。

中国のモバイル決済市場規模は150兆円を超える

訪日客全体の4分の1を占め、消費額の高さが特徴の訪日中国人顧客。その中国では、モバイル決済が急拡大しており、市場規模はすでに150兆円を超えているというデータもあります。日本のクレジットカードの市場規模が50兆円弱ですから、人口の違いはあるにせよ、巨大な市場であることは間違いありません。そのモバイル決済市場をAlipayとともに支えるのがチャットの中国最大手であるテンセント(Tencent)グループのモバイルペイメント「WeChat Pay」です。

「WeChat Pay」は、香港や韓国に次いで、日本でも2015年9月からモバイル決済サービスを開始しています。「WeChat Pay」もAlipay同様にモバイルコマースでのオンライン決済を始め、QRコードによる店舗での支払いで便利に利用されています。

「WeChat」は、中国版「LINE」と呼ばれるコミュニケーションアプリであり、2015年11月時点で中国内外の月間アクティブユーザー数が7.6億人といわれています。また、中国ではスマートフォン利用者の9割がインストールしているそうです。

「WeChat Pay」は、複数の銀行口座とアカウントを紐づけて利用できます。利用金額の制限は、アカウントを紐付けている銀行口座ごとに設定されており、30万円から60万円、高い銀行であれば100万円ほどの支払いが可能です。

中国現地では、モバイル決済に加え、モバイルクーポンなどを利用した店舗への誘導、スマートフォン同士でQRコードを表示もしくは読み取って行われる個人間支払い、請求書支払など、さまざまな利用が行われています。さらに、利用者が複数の人にお年玉等を振り分けて送るというユニークなサービスも提供されています。

モバイル決済に加え、集客機能も活用できる

日本では、ネットスターズ、アプラス、ユニヴァ・ペイキャストなどが「WeChat Pay」の開拓を行っています。すでに羽田空港国内線・国際線旅客ターミナルや大丸松坂屋、ラオックスといった訪日中国人顧客が訪れる店舗で採用が進んでおり、今後も順調にその数は伸びると思われます。

「WeChat Pay」のメリットは、ユーザーにとっては、銀聯カードと異なり、手数料がかからない点が挙げられます。また、ユーザーが国内で支払いを行うと、ユーザーのスマホには日本円および人民元に換算された金額が表示されます。

加盟店がWeChat Payを導入する際に魅力なのは、その手軽さです。加盟店はタブレットやスマートフォンを用意する必要がありますが、審査が通れば、導入やオペレーションの負荷はそれほどかかりません。ある百貨店では、店舗スタッフのオペレーションは、「WeChat Pay」決済と、レジ入金との2オペレーションのため、慣れるまで時間がかかるのではと、一部では危惧していたそうですが、大きな混乱はなく運営できています。また、通常のカード決済の場合、利用者のカードを一旦預かる必要があり、ユーザーも日本で買い物をする際の不安な点となっていますが、その必要がないため、安心感を与えることができたといいます。

さらに、WeChatのSNSの機能を使い、集客に向けた取り組みを実施できることも強みとなっています。WeChatは、中国では企業の75%が利用しているといいます。そのため、来店客にWeChatを通じて最新情報を配信したり、お得なキャンペーンを実施できます。また、来店後のアフターフォローもWeChatを通じて行えるそうです。

大丸松坂屋ではビーコンから情報が取得できる「シェイク」を活用

日本でもキャンペーンに活用する事例が複数登場しています。たとえば、大丸松坂屋では、WeChat公式アカウントフォロワー獲得を目的にしたキャンペーンを実施。同キャンペーンでは、店内の所定の位置で「シェイク」をすると、大丸・松坂屋のWeChat公式アカウントが表示。そのフォロワーになり、公式アカウント上で店内に表示されたパスワードを入力すると、「さくらパンダ」のデジタルステッカーが手にできる取り組みとなりました。WeChatユーザーが所定の場所でスマートフォンをふると、Bluetoothを通じてビーコンから情報が取得できるWeChatの機能「シェイク」を活用。「シェイク」は中国でも店頭で利用者が楽しみながら情報取得し、販売促進につなげられる機能として現在流行している手法となっています。

実際にWeChat Payは現地では小口の買い物でも多く利用されているそうです。日本では小口の買い物はもちろん、導入店舗が家電量販店や百貨店となるため、現地よりも平均単価は高いといった話も聞きます。

現在、銀聯カードは国内45万以上の店舗で利用できますが、インバウンド需要のさらなる拡大が予想される
中、利用店舗がどの程度増えるのか、注目したいですね。

【画像】
ネットスターズは「WeChat Pay」の導入店舗が500店舗を突破(出典:ネットスターズ)

著者紹介

秋山 恭平
  • 株式会社ネットプロテクションズ
  • マーケティング部
  • マネージャー
  • bnr_air
  • bnr_atobarai
  • bnr_frex

最近の投稿