• 決済
  • 連載第30回
  • 2016/12/14
  • 連載EC決済のイマとミライ

日本でもスタートの「Apple Pay」、オンライン決済にも注目

bezahlung

日本でも2016年10月下旬からスタートする「Apple Pay」。日本で普及している「FeliCa」の技術を活用したリアル店舗の決済や交通乗車が注目されていますが、オンライン決済でも変革をもたらす可能性を秘めています。

日本のApple Payでは「iD」「QUICPay」「Suica」に対応

米国時間の2016年9月7日の「Apple Special Event」において、日本でのApple Pay対応が発表となりました。筆者もおサイフケータイの利用者なので、「iPhone」でFeliCaの機能が利用できるのは感慨深いです。

Apple Payは、iPhone 7、iPhone 7 Plus、Apple Watch Series 2で店舗での決済や交通乗車、オンライン決済に利用可能できます。

クレジットカードに紐付けたポストペイ(後払い)の支払いは、全国のiD、QUICPay加盟店での支払いに対応します。利用者は、支払いの際に手段を伝え、Touch IDに指を載せたまま iPhone等をリーダー(決済端末)に近づけるだけで決済が完了します。Apple Watch Series 2で決済する場合にはサイドボタンを2回クリックしてからiD/QUICPayのリーダーに近づける流れとなります。

利用者は仮に端末を紛失した場合でも、「iPhoneを探す」機能で紛失モードに設定することで、Apple Payの利用を一時停止することができます。また、リモートワイプ(遠隔消去)を実行することで端末に保管されるApple Payを含む個人情報をすべて消去可能です。さらに、iCloud. com にログインし、Apple Payからの支払いを停止できます。

なお、Apple Payにおいて、海外同様にApple自身ではカード情報を保有しない、決済に基本的に絡まないことも特徴となっています。利用者の端末には、各デバイス固有のアカウント番号(識別番号)が発行され、暗号化された状態でデバイス内のセキュアエレメントに保管されます。つまり、カード番号とは別の識別番号が紐付いており、仮に端末を紛失しても16桁のクレジットカード情報が盗まれる心配はありません。

また、今回、日本の特に首都圏で利用者が多いSuicaに対応したことは多くの方に喜ばれました。Apple PayにおけるSuicaの設定として、利用者は手持ちのSuicaカード、My Suica、Suica定期券をiPhoneにタップするだけでApple PayにSuica情報を移行することが可能です。また、複数のSuicaをApple Payに登録し、利用目的に応じ使い分けることも可能となっています。SuicaへのSFチャージ(入金)や定期券の更新も、Apple Payに登録したクレジットカード、ビューカードから行えます。また、店舗において、電子マネーとしての支払いも可能です。

日本のクレジットカード会社のクレジットカードに加え、ソフトバンク・ペイメント・サービス発行のプリペイドカード「ソフトバンクカード」でもApple Payに対応(出典:ソフトバンク・ペイメント・サービス)

日本のクレジットカード会社のクレジットカードに加え、ソフトバンク・ペイメント・サービス発行のプリペイドカード「ソフトバンクカード」でもApple Payに対応(出典:ソフトバンク・ペイメント・サービス)

将来的にはType-A/B決済への対応にも期待

なお、海外のApple Payでは、Type-A/Bという規格が採用されています。日本でも同規格の普及が期待されていますが、国内ではFeliCaによる支払いが先行して展開されており、利用できる店舗が一部に限られます。Appleにとっても日本は重要な市場であり、すでに60万台以上の決済端末が普及しているiDとSuica、約45万台が普及しているQUICPayに対応したことは現実的な選択だったのでしょう。iPhoneがFeliCa対応を行うことにより、日本の従来のインフラを利用してApple Payのサービスが利用できるようになりました。これにより、国内によるモバイル決済のさらなる普及が見込まれます。

ただし、2020年の東京五輪に向け、Type-A/Bが利用できる環境も徐々に整備されると思われます。そのため、加盟店が増加すれば、国内のApple PayがType-A/Bに対応する可能性もありそうです。

アプリケーション・ウェブサイトでセキュアな支払いが可能に

今回のApple Payの国内展開の報道では、リアルでの決済や交通乗車の話題が多くなりましたが、個人的に注目しているのはインターネット決済分野です。すでに、ソフトバンク・ペイメント・サービス、GMOペイメントゲートウェイ、ベリトランスといった大手決済代行事業者が対応を発表しています。

American Express、JCB、Mastercardブランドの利用者は、アプリケーションやオンラインショッピングの支払いにもApple Payが利用できます。ここにVisaの名前がないのは残念ですが、将来的には対応されると思われます。オンラインでの支払いもTouch IDに指を触れるだけで完了し、配送先や連絡先、クレジットカード番号などを買い物の都度入力する必要はありません。アプリケーション・オンラインショッピングでのApple Payの利用は iPhone 6以降のiPhone、またはiPad Pro、iPad Air 2、iPad mini 3以降のiPadが対応。また、2012年以降のmacOS SierraがインストールされたMacでもSafariでの支払いにApple Payを利用可能です。その際は、iPhone 6以降のiPhoneとApple Watchで支払いを承認する流れとなるそうです。

国内のECサイトでの導入先も続々と決定

Apple payにより、利用者はカード番号やセキュリティコードの入力なく、オンライン決済が可能になります。また、本人確認性が高いモバイルでTouch IDを活用することにより、不正利用の削減にもつながる可能性があります。海外におけるApple Payのオンライン決済においてもAppleはAPIのみを提供しており、決済には関知しないという話もありますが、国内でも各決済事業者と連携することにより、同様の形で支払いが行われると思われます。

Apple Payは10月下旬から提供される予定ですが、旅行サイト「じゃらんnet」、全国のタクシー約3万台を呼べる「全国タクシー」、宅配デリバリーサイト「出前館」、シネマコンプレックス・映画館の「TOHOシネマズ」などで採用が決定しています。オンライン決済におけるID決済の普及のきっかけにつながると期待したいですね。

Apple Payのインターネット決済の仕組み(出典:GMOペイメントゲートウェイ)

Apple Payのインターネット決済の仕組み(出典:GMOペイメントゲートウェイ)

著者紹介

秋山 恭平
  • 株式会社ネットプロテクションズ
  • マーケティング部
  • マネージャー
  • bnr_air
  • bnr_atobarai
  • bnr_frex

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