• 決済
  • 連載第34回
  • 2017/2/17
  • 連載EC決済のイマとミライ

金融機関の新たなサービスとして注目される貯蓄アプリとは?

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メガバンクだけではなく、地域金融機関でも金融(Finance)とテクノロジー(Technology)を掛け合わせたFintechの取り組みが活発化しています。その中で若年層などとの接点強化のサービスとして注目されているのが貯蓄アプリです。すでに住信SBIネット銀行、ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)の福岡銀行などが取り組みを実施。今後はクレジットカードやデビットカードと連携したマーケティングツールとしても期待されています。

500円玉貯金をアプリで実現するfinbee

ネット銀行としてさまざまな商品を提供する住信SBIネット銀行では、決済を軸としたプロダクトの強化に力を入れています。たとえば、Visaデビットとして日本初の非接触決済機能「Visa payWave(Visaペイウェーブ)」および「円」・「米ドル」2種類の通貨による決済にも対応した「Visaデビット付キャッシュカード」を発行しています。また、融資サービスとなる「トランザクションレンディング」を、決済代行事業者のゼウス加盟店向けに提供するなど、新規ビジネスを続々と展開しています。そんな同社がインフキュリオン・グループのネストエッグ社が提供する自動貯金サービス「finbee(フィンビー)」との更新系API接続を行ったことが注目を集めています。インフキュリオンは、Fintech協会の理事を務める企業としてご存知の方も多いでしょう。

finbeeは、簡単に言うと“ユーザーが自動で貯金できるアプリ”となります。金融機関が提供する積み立てサービスとして、定期預金などをイメージされる方も多いと思いますが、アプリ貯金はユーザーがより気軽に始められるのが特徴です。海外ではAcornsが提供しているのをはじめ、新たなFintechサービスとして注目されていますが、国内の金融機関が更新系API接続を行ったケースとしては住信SBIネット銀行が初となりました。なお、更新系APIは、銀行の認証基盤で口座契約を認証することにより、提供企業が利用者情報を保有することなく、サービス提供企業経由で普通預金口座とその一部である貯金用口座間の振替などができるシステム接続方法となります。

具体的には、ユーザーが貯金の目標を設定することでモチベーションを保ちながら、自動で無理なく確実に貯金でき、さらに目標金額を達成するとボーナスポイントが手にできる仕組みを採用。500円玉貯金の電子版のように、コツコツと若い世代から貯金できるサービスとして、今後は採用する金融機関も増えるかもしれません。

finbeeは、4つの貯金ルールを有しています。具体的には、自動でメインの口座から貯金口座へ貯金する「つみたて貯金」、住信SBIネット銀行が発行するVisaデビッドカードで支払いをした金額に対し、切りの良い金額(100円玉や500円玉など)で支払った場合のおつりに相当する金額を貯金する「おつり貯金」、1日に決まった歩数を歩いたら、もしくは歩かなかったら貯金する「歩数貯金」、住信SBIネット銀行が発行するVisaデビッドカードのひと月分の利用合計金額に対しあらかじめ設定した金額を下回った分を貯金する「空き枠貯金」といったルールを設定できます。今後は採用する金融機関の要望を受け、新たなルールが設定される可能性もあるでしょう。

FFGではちょこっと預金、目的別預金を提供

また、ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)では、情報通信サービス業に属する事業を主たる業として営むフィンテック関連企業「iBankマーケティング」を設立するなど、新たな決済サービスの開発に力を入れています。FFGの福岡銀行では、2016年10月11日から、JCBブランドのデビットカード「Debit+(デビットプラス)」の取り扱いを開始しましたが、スマートフォン専用アプリ「Wallet+(ウォレットプラス)」と組み合せて利用することで、Debit+ の使用状況(決済履歴)の確認や、Debit+ の利用金額に応じてお得なポイント「myCoin(マイコイン)」が付与される仕組みを採用しています。

同アプリでは、福岡銀行の総合口座普通預金と連携することで、日々の収支がわかる「お財布」機能や、アプリ専用の貯蓄預金口座を開設することで、手に入れたい目標に向けてスタートできる「ちょこっと預金」、「目的預金」が「Wallet+」内で利用できるマネーサービスとなっています。ちょこっと預金は、1カ月のメイン口座内の収支結果を知らせ、月々の余資をワンタップで貯蓄できるのが特徴です。買い物が少なく、余裕がある月に限って預金でき、簡単に資金移動できることを売りとしています。また、目的預金は、メイン口座に紐付いた貯蓄口座で、目的にあった貯蓄を気軽に開始できます。たとえば、旅行、車など、消費にかかわる情報コンテンツ、ライフイベントを実現するための目的別預金の提供を通じて、利用者が目標とする預金をスタートできます。さらに、目標設定額の達成状況に応じて、お得なクーポンなどが配信されます。報道によると、流通企業などが提供するクーポンは“ここにしかない特別なもの”を意識しているようです。

決済カードとの連携でマーケティング

このように、気軽に始められる預金サービスを通じて、利用者の口座活性化に結び付けるケースが増えるでしょう。金融機関にとっては、クレジットカードやデビットカードの決済ツール、流通や旅行関連の企業などと連携することにより、顧客の行動や口座利用者の状況をより正確に捉えることが可能となります。また、ユーザーが日々利用するスマートフォンアプリ経由でクーポンなどのサービスの提案ができることもポイントです。金融機関にとっては、日々の決済履歴などから、顧客にあった提案を行うことがより容易になり、ワン・トゥ・ワン・マーケティングにつなげることが可能となるでしょう。

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finbee画面。貯金の目的に関するお得なサイトやサービスのレコメンド機能、貯金達成時などに銀行口座へキャッシュバックできるポイント付与、貯金目的ごとにお得に決済ができるクーポン発行等も予定

著者紹介

秋山 恭平
  • 株式会社ネットプロテクションズ
  • マーケティング部
  • マネージャー
  • bnr_air
  • bnr_atobarai
  • bnr_frex

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