• サイト構築
  • 連載第2回
  • 2017/3/2
  • 大西理の「通販/EC業界、いま話したい人」

【マードゥレクス藤原尚也さん】
デジタル時代の人材育成と組織~後編~

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大西理の対談シリーズ、第一回のゲストはマードゥレクス取締役社長の藤原尚也さん。第二部では「人材・組織」についての話題が中心です。

大西さん)
そもそも、紙媒体がマーケティングの主体だった御社にあって、どのようにデジタル人財を確保しているのですか?

藤原さん)
ECのマーケティング担当は5名ほどいるのですが、社外から採用したわけではなく、社内スタッフを教育しています。毎回の会議で、数字の見方や考え方など、私自身が直接指導しています。細かくやっているので1回の会議につき2~3時間かかることもあるのです。

大西さん)
ある意味うらやましい環境ですね。そもそも、藤原さんご自身はどのようにデジタルマーケティングを身につけていかれたのですか?

藤原さん)
1998年、TSUTAYAがオンラインショップを始めた際に、店長に任命されたことで、デジタルの世界に足を踏み入れました。当時はリアルとかオンラインとかは関係なく、ひとつのお店を運営する感覚でしたね。

立ち上げた当初は、オンライン上に「売り場」があるだけで、お客さんはほとんど来ませんでした。そんな時、リアル店舗だったらチラシを配るだろうから「チラシのインターネット版は何だ?」と考えて、メールを送ってみたのがデジタルマーケティングのスタートかもしれません。その後、手探りながらも、時代に合わせて少しずつ勉強していったような感じですね。

最初の頃は、オンラインショップは売上も小さく少ない在庫しか回してもらえなかったこともあり、店舗との距離を縮めるための施策も色々やりましたね。例えばオンラインで購入したものを店頭受取可能にしたり、送り状に店舗のプロモーションを印刷できるようにしたりして、リアル店舗への導線を作りました。そういう施策の裏側の業務設計も私が担当していたので、システムやデータベースなど、ECのバックヤード部分にも詳しくなりましたね。

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大西さん)
その気持ち、すごくわかります。私もカタログ通販企業の中で、手探りでオンラインショップの立ち上げを進めてきたので。同じように社内ではカタログの売上が絶対的存在感だったのです。だから、オンラインショップ上でカタログ掲載商品の商品番号を入力してもらったら、カタログ側の売上になるように社内調整したり。お互い師匠がいない時代だったので、藤原さんもご苦労されたと思いますが、基本は独学ですか?

藤原さん)
独学です。といっても、ベースはリアルでの商売と変わらないと思います。どうすれば商品をきちんと届けられるかを考えるだけ。リアルでやっていたことを、オンライン上でどう表現するか考えることが多かったですね。

例えば、オンライン上での予約サービス。昔から店舗ではCDの予約販売をしていたのですが、オンラインショップでは実施しているところがなかったので、試しにCDのネット予約システムを作ってみたのです。すると、それが大当たり。新作CDの予約開始を告知するメールを送ったところ、売上げが一気に3倍に増えました。

しかし、当時はメールを送るにも携帯キャリアに配慮が必要でしたし、「迷惑メール」問題で、インフラも逼迫してましたので。今ほど恵まれた環境ではありませんでしたよね。

大西さん)
その通りですね。メールマガジンを送るのも一日がかりでしたからね。もちろん、今には今の苦労があるわけですが。デジタルマーケティングの苦労のひとつが、PDCAサイクルを回し続けることですよね。

藤原さん)
そうそう。それが難しいのです。普通、うまくいってなかったらPDCAを回して改善するけど、少し良い数字が出るとホッとして止まってしまう。でも、そこで「なぜ良い結果だったのか?」と言い出せることが大切なのです。結果が良かった施策と似てるけど少し違うパターンを作ってやってみる。それで数字が良ければ勝ちパターンですし、そうじゃなかったら、別の理由を探す。そういうことを繰り返さなければダメなのです。良い結果が出ても「じゃあこのCVRを0.1%でも上げるためにはどうすればいい?」と次から次に考えないといけない。終わりがないのですよね。

大西さん)
本当にそうですね。私のお師匠さんが「勝ちにまぐれはあっても負けにまぐれはない。負ける理由が必ずあるから細かいことにこだわって次に進め」と言ってたのですが、本当にその通りですよね。そして、その循環をいかに早く回すかも大事になってきます。

藤原さん)
そうそう。PDCAを回すサイクルとして、2週間とか1ヶ月間くらい様子を見るのが一般的だと思いますが、うちは1週間毎に数字を見ています。

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大西さん)
短いですね。そのスピード感についていけることもひとつだと思いますけど、デジタルマーケティングに向いている人財って、どんな人だと思いますか?

藤原さん)
基本的にはどんな人でも大丈夫だと思いますよ。うちの社内でも、それまでデジタルマーケティングがよく分かっていなかった社員が、「こうすれば良くなるのでは?」と自分から言い出すこともありますし。

逆に、自分の考えが凝り固まってしまっている人には、不向きな世界なのかもしれませんね。何を言っても「それは過去に良くなかったので」とか「当社ではこうなんです!」みたいに、思考が固まってしまっている人は難しいですね。新しいことに挑戦しないし、できない理由ばかりが明確で。過去のことが全てだから、新しい仮説も立てられない。それでは、エージェンシーに丸投げで何もやらないのと変わらないんです。

大西さん)
デジタルって新しい分野だから、やってみないと分からないことがまだまだ多い。どんどんチャレンジして行くしかないですからね。私たちも、何でもかんでもやっているわけではなく、自分たちなりの仮説とストーリーがあるのですが、リスクを恐れたり、否定ばかりじゃ前には進まないですね。

藤原さん)
そうなんです。だから、当社の組織では、メンバーにある程度の権限を与えています。致命傷になりそうな場合はブレーキをかけることもありますが、たとえ私が失敗するかもしれないと思っても、あえて止めずに進めさせる。失敗も成功も自分で経験するのが大事だと思うので。自分たちの考えたことで動けると成長できるし、自発性も身につく。自由にやれる環境を提供しながら、間違った方向に進んでいないか確認するために、日々のコミュニケーションも大事だと思いますね。

大西さん)
藤原さんのSNS上での投稿を見てると、明るくて活気のある会社だと伝わってくるんですよね。チーム作りをする上で、ほかに意識されていることはありますか?

藤原さん)
事前に、評価の観点をはっきりと示すことは気をつけていますね。先にその握りをせずに、評価面談の場になって「もっとできたはず」と言うのは無責任過ぎますからね。デジタルマーケティングはあらゆる数字が可視化されている分、逆に最終的な結果しか評価されないような感じもしますが、そうではなく、売上に対する努力や行動もしっかりと評価できるようにしています。

大西さん)
なるほど。先日、社長に就任しましたが、今後は働き方も変わっていくのでしょうか?

藤原さん)
そうですね。今は、現場のマーケティングの考え方が強いのですが、財務なども含めた経営の視点で仕事をしていかなければと思います。そのために、今やっているデジタルマーケティングに関しては早くチームに引き継いで、僕自身成長するためにやらなければいけないことがたくさんありますね。

大西さん)
御社の成長が益々楽しみですね。これからも応援しています。このたびはありがとうございました。

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著者紹介

大西 理
  • 株式会社ヌーヴ・エイ デジタル戦略部

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