マーケティング

【連載第2回】 「これからECサイトを始めたい」人がまだいる件について

こんにちは、ECzine編集長のワダです。1月28日、29日に東京ビッグサイトで開催された、「イーコマースEXPO 2015 東京」に参加してきました。出展ブースにて、書籍を販売したり、ECzineの告知をしたりしてきた次第です。

来場者の方とお話しもしたのですが、キャリーバッグを引きつつ、わざわざ地方から来られる方も少なくありません。広島、静岡……、海外の方もいらっしゃいましたね。

そこで驚いたのは、「これからECを始めたいんだけど」という方がまだいらっしゃることです。いえ、EC化率がヒト桁%台のことを考えれば、日本のすべての事業者、お店がECサイトを持っているわけではないことは明確なのですが……。

ECzineを始めて1年と3ヵ月、取材等で業界の方とお話するたび、「これから参入しても難しいんじゃ」という意見を耳にしてきました。その言葉をもっと噛み砕いて考えると、「ネットショップというビジネスモデルはもう、新しくない」という意味だと解釈しています。

なぜ「これから始める」と難しいのか

月に何度か、EC事業者さんに取材に行きます。取材先を決める際には、「他のEC事業者さんの参考になりそうなポイントがあるところ」を基準に考えます。すると多くの場合、10年前後、ECをやってらっしゃるところになるんですよね。

そういう方々は、SEO、リスティング広告を散々やってこられて、検索すると、サイト名ではもちろん、商品やジャンルでも上位表示されます。ブログを始めコンテンツもたくさんたまっていて、歴史を感じます。

これが、まだネットで売られていない商材、ジャンルであれば、新参でも上位に食い込めるのでしょうが、もう、第一類医薬品や車も売ってるくらいですからね。なかなか見つけられないと思います。

一方で、最近ECが盛り上がっているのには、大手メーカーやブランド企業がECを重要なチャネルの1つとして認識し、参入しているからというのがあります。セブン&アイ・ホールディングスがオムニチャネル化を推進していることが話題になりましたよね。リアルでも十分稼いでいるのに、ネットでも買えるように取り組んでいるわけです。

そうした企業さんは何が強いかというと、ネット上での認知にそれほど苦労しないということです。ビッグワードの価格がいかに高騰しようが、リスティング広告にも出稿できる体力がありますし、何より、その社名、製品名、ブランド名で検索してもらえます。ECサイト自体のドメイン、歴史が新しくても、さして苦にならないということです。

しかしながら、これからECを始める多くの企業が、そうしたパワーを持っていないと思います。「これから参入しても難しい」と言われる所以です。

新たにECに参入するなら、起業レベルで考えるべき

でも、これからECを始めるすべての事業者が勝てないわけではありません。まだ、求められているサービスはあります。

たとえば、靴の「ロコンド」やメガネの「オーマイグラス」は、自宅での試着を前提としたサービスを展開しています。シャツをセミオーダーできるECサイトや、月額制で洋服をレンタルできるサービスも続々と出てきています。2014年に「エビス大賞2014」を受賞したのは、マシュマロに文字を印字して電報として贈れるサービスを提供する「マシュマロ電報」でした。

ですが、これを見てわかるように、新参でも注目を集めるECサイトというのは、これまでにない切り口でサービスを提供している、つまり、起業家レベルのアイディアを持っています。

上で「ネットショップというビジネスモデルはもう、新しくない」と書いたとおり、単純にネットでモノを販売するだけでは、ビジネスモデルとして成立しなくなってしまったわけです。

以前、ネットで起業するといえば、ゲームを作ったりアプリを作ったりといったものでしたが、時代は変わりました。今後は、ネットに精通した野心ある若き起業家が、ビジネスモデルの選択肢の1つとして、ECを選ぶことも増えていくでしょう。

すぐに儲からずとも、ECサイトを持つべき

これからECを始めたい人の希望を奪うようなことを書いてしまいました……。でも、「誰でもカンタンにネットショップが作れる!」という謳い文句は世にあふれているので、作れたとしても、ビジネスにはならないかもよ?という厳しいことも言っておきたいと思うのです。

ネットショップが当たり前のビジネスになったなら、ユーザーがネットでモノを買うのも当たり前になりつつあります。もしあなたの企業がネットで販売をしていないなら、いくらかの機会損失をしている可能性が大きいです。

たとえば地方旅行のお土産を、友人からもらったとします。おいしかったので、自分でも買おうと思って検索したけれど、見つからない。自治体の観光サイトに情報が載ってはいるけれど、写真がイマイチで買いたい気持ちが薄れた。モールと自社サイト、両方見つかったけれど、モールのほうが品揃えがよかったからそちらで買ってしまった……、これらすべて、私が経験したことです。

もったいない、ですよね。

とはいえ、リアルである程度成功している事業者からすれば、「それって、年に何回あるの?」「投資したほど儲かるの?」という疑問をお持ちかと思います。

ズバリ言うと、リアルほどは儲からないかもしれませんし、専任をつけたらその人の給料が稼げるかは疑問でもあります……。

けれど、それでも「ECサイトを持ってください」と言いたい。なぜなら、買いたいものが買えないと、がっかりするからです。ECサイトがない、イマイチだというのは、イメージダウンになるからです。

これからもビジネスを続けていきたい事業者にとって、ECサイトは必須のチャネルです。コーポレートサイトやブログにカートをつけるところからでもいい。事業によっては、「お問い合わせ」でもいいと思います。Facebookページを持つのと同じくらいの感覚で、ぜひECサイトを持ってもらいたいと思います。