マーケティング

【連載第7回】 これからのEC、2つのトレンドと永遠に変わらないこと

こんにちは、ECzine編集長のワダです。半年間書かせていただいた本連載も、いよいよ最終回です。最終回らしく、これから先の未来を見据えて、EC事業者さんと一緒に考えていきたいことをピックアップします。

ECサイトのスマホ対応はデフォルト

4月21日にGoogleから「モバイル フレンドリー アップデートを開始します」などの告知があって話題になりましたが、要はスマホでの掲載順位が、スマホ対応しているサイトのほうが引き上げられると。「スマホ対応していないと検索順位が下がる」というと「ええっ!?」という感じですが、「スマホ対応しているサイトが上に来たほうが、スマホユーザーが便利でしょ」と考えると、当然といや当然ですよね。
ちなみに「モバイル フレンドリー テスト」にて、Googleがそのサイトをモバイルフレンドリーだと評価してくれているかも簡単にわかります。そのため、パニックになることもなかったのですが、我々メディアがまた、煽ってしまったかもしれません。ASPカート事業者さんに問い合わせが少なからずあったようですし。反省。
ECサイト運営者にとって、検索順位は永遠の課題であり、集客における重要な生命線の1つではありますが、とはいえ、Googleから告知があってからスマホ対応を考えるのは、ちょっと遅すぎな気もします。プライベートでいかにスマホが使われているかを観察したり、Googleアナリティクスでアクセスされている端末をチェックしていれば、今回のモバイルフレンドリーパニック以前に、「手を打たなきゃ」とは思ったはずです。

というわけで、ECサイトのスマホ対応はデフォルト。今後考えるべきは、どう使われているかを踏まえたユーザビリティかと思います。レスポンシブから、デバイスごとのサイトに変えたらコンバージョンが上がったという話もよく聞きます。ECzineでは、「スマホECユーザビリティの極意」と題した連載を2014年から始めているほか、スマホECに関してはいろいろと考えていますので、よろしければ参考にしてみてください。

越境EC、欧米ならAmazon、中国なら天猫国際

02

ECzineを始めたのが2013年11月。開始当初から、「越境EC」という単語は耳にしていましたが、「いや~、国内でまだやってないことあるんじゃない?」と半信半疑でした。それが、2015年6月になってようやく「いや、越境ECアリですね」と腹落ちしています。先を見るのが仕事のメディアにもかかわらず、時間がかかってすみません。
要因の1つとしては、グローバルなプラットフォームであるAmazon.co.jpに、アーリー・マジョリティくらいのEC事業者さんが相次いで出品し、売れる手応えを感じていらっしゃること。Amazon.comの管理画面は、英語ではあるもののco.jpと同じ仕様だそうですから、co.jpに出品している事業者さんにとっては、心のハードルが下がるというもの。倉庫もFBAを使えばいいですし、国際物流や銀行口座の開設もよいサービス(Amazon外)が出てきているようです。
というわけで、これから欧米へと越境ECするなら、まずAmazonと英語の自社ECサイト、そして次にeBayという流れがスムースではないでしょうか。eBayさんはオークションのイメージが強かったのですが、これからは中古品以外の事業者さんの販売の場としてのPRを強めていくもよう。2015年5月13日の「通販ソリューション展」でeBayさんが講演した際には、聴講者は約400人ほどだったとのこと! 注目が集まっています。

一方で、数年前に楽天市場さんはじめ、ECにかかわるいくつかの企業が立ち向かっては、あまりうまくいかなかった中国。その後、領土問題、PM2.5、不動産バブル崩壊かなどがあって、あきらめムードも漂っていた感じのところに、まさかの「アリババBtoCモール『天猫』、独身の日1日で流通額1兆円」の報道でした。よくよく見れば、そこにはちゃんと、日本企業も出店しているんですよね。ブームにもムードにも揺らがない、勇気ある先駆者が得る先行者利益とは、このことか、なんて。
これを聞いて、中国への越境ECに思わず腰を上げた事業者さんも少なくないはず。そこで最近、日本からの出店が相次いでいるのが、天猫のグローバルモール「天猫国際」です。たとえば、爽快ドラッグさん、@cosumeさん、東京オタクモードさん、歌舞伎フェイスパックの一心堂本舗さんなどが出店されています。
天猫のライバルとして、直販が強いことで差別化する京東(ジンドン)の「JD.COM」も6月、日本製品を専門に扱う「日本館」をオープン、日本企業の担当者を招いた説明会は数百人入る会場が満席になっていました。中国側がECのプラットフォームを整え終わり、海外企業を受け入れ始めたというところでしょうか。
「天猫」「天猫国際」への出店について、ソフトバンクグループ同士、ヤフーとアリババが連携。ヤフーが優遇プランを用意するという発表もあり、非常に楽しみです。

夢物語の終焉に見えた、永遠に変わらないこと

越境ECブームは、環境が整ったとか、訪日外国人観光客が日本製品を爆買いしていくとか、日本の人口が減っていくので海外に販路を開拓せねばとか、いろいろな理由があると思いますが、EC専業の方々が、オムニチャネル等で行き詰まりを感じていたところに、1つの突破口ができたから、というのもあるのではないかと感じています。
うまく売れているかはともかくとして、いまやどの企業もECサイトを持つのが当たり前。Amazonはすごいですけど、道半ばのオムニチャネル、eコマース革命、フリマアプリ、ハンドメイド、コンテンツマーケティング、マーケティングオートメーション、アドテク……などなど、EC事業者さんにとって、本当に革新的なことって、この1年半の間に、実は起きてないんじゃないかな~なんて思ったりもします。
では何が変わったかというと、ECの夢物語の終焉に、その企業が本質的に何を提供しているかが問われている気がしませんか? Amazonの登場により、とくに小売事業者さんが直面したのが早かったのでしょう。
夢物語の終わり……、でもそれは、ECの終わりではありません。現実に引き戻されただけですよね。それで現実には何をしたらいいのか……、それは「真剣にECをやる」に尽きると思います。「結局それかい」と突っ込まれそうですが、現実なので、魔法の杖はないわけです。
私は仕事柄、ECで成功している方、新しい取り組みをしている方にお会いすることができるのですが、皆さん、本当に真剣に、当たり前のことをきっちりやってらっしゃいます。Googleアナリティクスのデータを自分で見て考えていますし、FacebookやInstagramには美しい写真が出るよう調整しています。必要な効率化のためのツールは揃っているけれど、コストには厳しく、まず人力で取り組んで効果が見えてからだったりします。越境ECをやるなら、現地法人を立てたり、外国人のカスタマーサポートを雇っています。ECに回ってくる在庫がなければ、泥臭く社内調整しています。ECで生きていくと腹をくくっている、覚悟を感じます。どんな仕事でも、永遠に変わらないテーマですね。

とまぁ、偉そうなことを書きましたが、書いて私もハッとし、反省しているところです。ECzine頑張ります。今日からできる具体的なノウハウに、「EC、ガチで頑張ろうね!」という応援を込めて、コンテンツを更新していきたいと思いますので、よかったらご覧くださいませ。半年間、ご愛読ありがとうございました。またどこかでお会いできる日まで。(終)