マーケティング

【連載第4回】 中国の通販市場に日本製商品の活路はあるのか?【インタビュー後編】

みなさま、こんにちは!
ネットプロテクションズ渡辺です!

前回に引き続き中国の通販市場に焦点をあて、弊社の中国人社員にインタビューした内容をお送りします。

渡辺)中国だと、注文受付をチャットでやり取りすると聞いた事があるのですが、それはチャットのノウハウをもつテンセントが市場に進出してきたからですか?

劉)それは、違います。テンセントが市場に参入する前からチャット機能はありました。モールの機能開発でいうならば、アリババは特に事業戦略を徹底していました。アリババの提供するタオバオは、検索・チャット・広告システムすべてを自社で開発しています。ブラウザ検索をしても商品のページにはたどり着かず、タオバオのホームにたどり着くだけです。それほど、徹底しているのです。

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渡辺)チャットではどんなやり取りをするのですか?また、チャットが行われるのはどんなタイミングで、言語は中国語だけですか?

劉)チャットの内容といえば、実店舗で店員とやり取りしているような内容の会話をします。「これって、どこ産?」「いくらなの?」「安くならない?」といった感じです。中国人は日本人と違い、市場でものを買うことになれているので店員とよくコミュニケーションをとります。商品の詳細はサイトのページ内に記載されているものの、チャットで直接聞くことが習慣化しています。

店舗側としても、チャットを利用してユーザーの温度感を高めることが出来ます。値下げの交渉も良くチャットで行われます。ユーザーは「安くしてくれたら、またショップに買いにくるぞ~」と投げかけて、店舗側がそれに応じたりするわけです。大きなショップであれば、24時間体制でチャット対応しています。

チャットのタイミングですが、モールのアカウントをもって店舗ページに移動することで始められます。タオバオでは、アーリーワンワンという名前のチャットになりますね。チャットは店舗ページ上でのやり取りのみなので、店舗ページを離れたユーザーとの継続的なやり取りが出来るわけではないです。また言語でいうと、現状、中国語でのやり取りしかできませんね。外国語を出来る人材となると、人件費が高く、24時間対応は難しいのでしょう。

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出典元:taobao.com

渡辺)モールの運営をするにあたって日本と違うと思うことはありますか?

劉)あります。恥ずかしいことに、中国では人と人との間にある信頼が薄いです。そのため、代引き支払が中国にもあるのですが、集金スタッフに渡したお金を店舗に確実に支払ってもらえるかが心配になります。決済に関する不安が中国にあったからこそアリペイのような第三者保証決済アカウントが流行りました。ジンドンのように規模が大きくなってしまえば、ジンドンスタッフが直接集金に出向いたりしているようですね。

渡辺)信頼関係の重みが日本と違うようですね。他人に抱く信頼感が日本と違うという所で気になったのは、口コミサイトなど信ぴょう性が大事になるサービスは利用されているのですか?

劉)口コミサイトだけでなく、店舗評価の仕組みなどもあります。タオバオがもっている良い仕組みは決済方法と、店舗評価の仕組みです。ユーザーが店舗に対して点数をつけることで、店舗の信頼度が見えるようになっています。また同様に店舗側がユーザーを評価できるような仕組みもあります。これは、ユーザーの信頼度も可視化し、店舗の評価を不当に下げていないか判断するためです。ユーザーは必ず店舗の評価を確認してから商品を購入するので、1件でも低い評価があると店舗にとっては大ダメージです。

ちなみにタオバオでは、評価基準が20段階に分かれていて、ハート→ダイヤ→青の王冠→金の王冠と、評価が上がるごとに金の王冠へと近づいていきます。青の王冠が一つでもつけば、かなりの信頼度といっていいでしょう。

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出典元:taobao.com(図:タオバオにおける店舗の評価とアイコン)

渡辺)ほかにも商品を購入する際、ユーザーが見る部分はありますか?プロモーション方法でも特徴があれば教えてください。

劉)基本的にユーザーは商品の価格を比較したり、店舗評価を見たりしています。そこは日本と同じですね。最近ではタオバオ以外にもBtoC通販のサイトがありますので、そういったサイトと価格の比較検討をします。プロモーションでいうと、中国のネット広告市場は年間2兆円程度になると言われています。34%が検索エンジン、24%はモールが占め、モールに関しては、タオバオが大部分を担っています。具体例を挙げると、タオバオのトップページ広告は非常に高額です。またタオバオ内の検索で、上位に上がるようにするためにも広告費の支払いが必要になります。

渡辺)なぜamazonのような外資系大手は中国市場を席巻できないのですか?

劉)amazonは、中国では通販大手トップ10にはいっているかいないかですね。amazonは中国国内の企業を買収して参入してきました。中国が世界貿易機関・WTOに加盟してから規制はなくなりましたが、当時は外資系企業が中国国内で経営する際にライセンスが必要とされていたのでパートナー企業として参入してきました。しかし、パートナー企業として参入してしまうと、国内での実行力が弱まります。amazonも、日本でもっているような大きな倉庫をつくるといった戦略をもちろん立てていたと思いますが、先行してジンドンが始めてしまっていますね。

渡辺)現在は、海外企業が参入しやすい環境になっているのですか?参入しようと思ったら、どんなことに気を付けたら良いですかね?

劉)ライセンス等の規制は無くなっているので、以前よりは海外企業は参入しやすくなっています。私が思うに、いま日本の企業が中国に参入しようと思うと商品・サービスの改善が必要となってくると思います。中国の商習慣を取り入れて運営するのか、日本での経営手法をそのまま中国でも実行するのかなど、都度、選択を迫られるでしょう。前職では日本のカスタマーサービスを翻訳して、そのまま中国に展開しようとしましたが上手くいきませんでした。

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渡辺)中国人に好まれるプロモーションや商品の売り方などはありますか?

劉)最近では、ブランディング試作が注目されています。店舗デザインもしっかり整えて、マスコットキャラクターも中国人の好みに合うようなオリジナルデザインを制作するなどです。しかし、日本企業の強いところはプロモーションの種類が多様であり、店舗規模が大きくなくてもアフィリエイトなどの施策を一通りやっていることです。中国では、プロモーションを行う余地がまだ残っています。その余地に入っていくことができれば日本企業にとっては大きな強みになるでしょうね。参入の仕方として一番良いのは、現地で成功している企業と組むことでしょう。なんといっても楽に参入できます。

商品の売り方だとお菓子などは1kg単位で売っている事が多いです。中国人は量でのパフォーマンスを好みます。自分で食べるなら量と値段の兼ね合いを重視し、贈り物とするならば質を重視します。赤ちゃん向けの食品とかは、中国市場に進出するチャンスだと思います。中国の製品は安心・安全の評価は低く、日本製品の方が中国人から見てもその評価が高いです。化粧品は、値段競争になってきており、かなり安くなってきていますね。ブランドをどう作れるかが課題になるでしょう。

長時間のインタビューありがとうございました。

インタビューを通じて気づいたことは、次の2点。

  1. 現地のリアルな声はインターネット検索をしてもわからなかったこと
    中国ではユーザーと店舗との間でチャットのやり取りが盛んに行われているなど、直接伺わなければ知り得なかったことばかりでした。
  2. 中国の消費者が何を意識して購買しているかは、日本人の感覚と違っていると感じたこと
    私は商品ページに記載されている商品詳細をじっくり見て購入するかどうか考えたいのですが、中国ではチャットを利用して、直接店員から情報を得たり、値段交渉したりと日本ではあまり見かけない方法で通販サイトを利用していました。

特に2.の違いをしっかり捉えられるかが、中国進出を考えている日本企業にとって足掛かりになりそうですね。