マーケティング

【連載第14回】 広がりを見せる公金支払

インターネットによる公金支払いが成長の兆し
納付率の向上、事務処理コストの低減が実現

自動車税や固定資産税、国民健康保険、水道料金などの各種料金をウェブサイト上で支払える「公金支払い」が拡大を続けています。24時間365日、いつもでもどこでもWeb上から支払いが済むため利用が年々高まっており、ふるさと納税による支払いも大きな伸びを示しています。

約6割のユーザーがクレジットカードの支払いを肯定
「Yahoo!公金支払い」ではTポイントによる支払いも可能

自治体が公金の支払いにカード決済を導入するメリットとしては、支払いチャネルの充実による“納付率の向上”が挙げられます。また、事務手続きが電子化されることにより、口座振替依頼書などの紙ベースの事務処理を削減し、事務処理コストの低減につながる期待もあるでしょう。

ユーザーにとっては、納税窓口では利用できないクレジットカードが使えるのが強みとなります。ユーザーが利用するクレジットカード会社のポイントを貯められるほか、後払いのため、支払いを先延ばしすることが可能です。たとえば、自動車税の納付期限はボーナス前の5月末日ですが、引き落としはボーナス後になるといったメリットがあるようです。

ユーザーの期待値も高く、ビザ・ワールドワイド・ジャパンが実施した「オンラインでクレジットカード納付できるようになったら利用しますか?」という調査では、約6割の人が税金のクレジットカード納付に肯定的な結果となりました。

すでに、複数の自治体で納付率向上の成果が出ているそうです。日中だけでなく、夜間の利用も可能なため、消費者の利便性向上につながっています。また、リボ・分割払いでの利用が多いのも特徴となっています。

日本では、公金支払いをヤフーやGMOペイメントゲートウェイ、エフレジといった企業が展開。各社とも取扱高は年々、増加しているそうです。

ヤフーの「Yahoo!公金支払い」は、2015年6月の時点で累計600の自治体が契約し、全国3分の1をカバーしています。また、自動車税の導入先は47都道府県のうち22を占めています。

「Yahoo!公金支払い」では、共通ポイント「Tポイント」を支払いに充てられるのが特徴です。報道によると、一部利用も含め、約2割の人がTポイントを役立てているといいます。

GMOペイメントゲートウェイでも2006年のNHKを皮切りに、日本年金機構や東京都をはじめとした自治体へ公金支払いを導入しています。たとえば、神奈川県藤沢市では、全国で初めて、軽自動車税収納にクレジットカード納付を導入しており、期限内納付率が高まったとというデータも出ているそうです。

一方、公金支払いの課題としては、支払いごとに所定の手数料がかかることが挙げられます。たとえば、自動車税の支払いには多くの県で1件につき324円(税込)の手数料が発生していますが、支払いを後払いにできること、カード会社のポイントが付与されるといったメリットもあるため、ポジティブなツールとして捉えるユーザーも増えています。

「Yahoo!公金支払い」のメリット(出典:ヤフー)

ふるさと納税での寄付が急拡大
自治体の税収額を納税寄付が上回るケースも

なお、寄付金額に応じて税額控除を受けられる、人気のふるさと納税に関しては、ヤフーでも2013年度の6万5291件から2014年度は87万4586件に、決済金額は10億円から143億円へと飛躍的な伸びを見せています。「Yahoo!公金支払い」では、2013年にふるさと納税ポータルサイト「ふるさとチョイス」と決済の連携も開始し、ソフトバンクのふるさと納税サイト「さとふる」との連携を検討するなど、利便性の向上を図っています。

たとえば、長崎県平戸市では、2014年度ふるさと納税額が、全国の自治体初の10億円突破となり、そのうち約9割は「Yahoo!公金支払い」で決済されています。平戸市の2013年度の個人・法人市民税の合計は10億円余りで、同等額が集まったことになります。

また、ふるさと納税による寄付の歳入が自治体の税収額を上回るケースも表れています。北海道上志幌町では、寄付手法別の割合において、70.4%がクレジットカード決済となりました。

公金決済は40~50兆円の市場があり、まだまだ成長が期待される分野です。また、将来的にはマイナンバー(個人番号)との連携の可能性も考えられるでしょう。今後は、次の土地に移転してもその土地で便利に支払えるようなサービスに発展する可能性もありそうです。