インタビュー

【連載第4回】大西理の「通販/EC業界、いま話したい人」 【BEAMS 矢嶋正明さん Part2】
BEAMSのDNAを引き継ぐEC人財の育成

大西理の対談シリーズ、第2回のゲストは、ビームス開発事業本部EC統括部副部長の矢嶋正明さん。Part1では「個人を押し出すBEAMSのDNA」についてお話いただきました。Part2では「BEAMSのDNAを引き継ぐEC人財の育成」の話題を中心にお送りします。

大西さん)
個の力を活かすDNAが流れていると伺いましたが、そのDNAを受け継ぐ人財育成についてお聞きしたいと思います。個性を磨くというか、自分自身が好きだと思えるものを発信するカルチャーはどのように生まれたのでしょうか?

矢嶋さん)
先輩と後輩のコミュニケーションから自然に生まれたものだと思います。例えば、自分の好みの服をカッコ良く着こなしている先輩に「それどこで買ったのですか?」と質問をすると「あそこの古着屋で買ったんだよ」と回答が返ってきて、そのお店に連れていってもらえるようにもなります。そこで店員さんと仲良くなれば「今度新しく買い付けたレアなアイテムが入るよ」と事前に連絡をもらえるようになったりして。そうやって自分の洋服の幅がどんどん広がっていき、自分自身の個性を身に着けていくのだと思います。

大西さん)
理想的なタテのコミュニケーションですね。先輩から後輩に受け継ぎ、それがお客様にも伝わって、新たなファンを作っていく。ファッションや自社ブランドを好きなことが前提となって成立する業界ではありますよね。そういう意味では、店頭に立ち続けたいスタッフの方が多いと思うのですが、EC部門への配属を希望する方はいらっしゃるのですか?

矢嶋さん)
正直、あまり多くはないですね。実際、発足当初からEC部門は慢性的な人員不足に悩まされてきました。それでも、なるべく店舗経験のあるスタッフにECに来てほしいと思ってきました。業務をするとわかりますが、ECは店頭での販売経験がとても重要です。EC部門に配属されたスタッフに対して最初にいくつかの心構えを伝えるのですが、特に「ECスタッフはWEB上の販売員である」ということを強調して伝えています。店頭に立つ販売員と同じ目線を忘れず、いつでも店舗で接客できるくらいの気持ちで仕事に向かうようにと。

なので、EC部門に来る時には、現場のDNAさえ身についていれば、WEBの知識はなくてもいいと考えています。それは配属されてきてから教えますから。WordとかExcelすら、よくわからないという人でも大丈夫。みんな最初は同じですから。

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大西さん)
店舗スタッフの場合、高いITリテラシーは求められませんからね。

矢嶋さん)
とは言っても、ECにはテクニックやスキルを求められる部分がありますからね。異動して半年も経過すると、習熟度やレベルに個人差があらわれます。

大西さん)
その差を埋めるために何かされていますか?

矢嶋さん)
最初の段階で、トレーナー(教育担当)とトレーニー(新人)に分けて、部署内で指導する関係を作っていますし、今ではトレーナー同士で進捗の共有も実施しています。ECのスキルがあることと、教えるスキルがあることは別ですから、教える上で困っていることがないかトレーナーの抱える問題や悩みを拾う機会を定期的に設けています。彼らがヨコでつながることで、お互いアドバイスを送り合い、問題を一緒に解決していくことができるわけです。ミーティングでは、先輩スタッフがファシリテーター役となって確認を進めて、結果的に極端にトレーナーの習熟で差が出ないように工夫をしています。

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大西さん)
非常に参考になります。そういった教育方法も、独学で考案されたものなのでしょうか?

矢嶋さん)
そうですね。私自身はひとりでEC部門をスタートさせなければいけなかったので、そこに関しては先輩に教えてもらうことができず、全部「自前」でした。また、ECならではの数字やデータも後追いで学ばなければならず、大変でした。特にスタッフが数十人にまで拡大してきた今は、組織としての強みを発揮するためにも教育の部分を重視しています。ECって歴史が浅いので、専門的にコーチングできる人があまりいないんですよね。

大西さん)
先日某イベントに参加した際も、「人財育成」が話題に挙がりました。EC黎明期を支えてきた功労者の次世代が育っていない。正確に言えば「育っていない」というより、「育てていない」という気もしますけどね。だから、今回矢嶋さんが人財育成に注力されていることが知れ、嬉しく思いました。

Part3では、BEAMSが理想とするECとリアル店舗の関係性について伺いたいと思います。

Part1「個人を押し出すBEAMSのDNA

Part3「BEAMSが理想とするECとリアル店舗の関係性