マーケティング

【連載第35回】 費用対効果の計算法をシチュエーション別にわかりやすく解説!

新しいアイデアを導入する際には、必ずコストが発生します。ビジネスにおいては、いくら画期的なアイデアでも、少なくともこのコストを回収し、それ以上の効果を期待できなければ採用されません。この効果を判別するために用いられるのが「費用対効果」の考え方です。

プロジェクトを上司に提言するための説得材料として、費用対効果を提示しなければならない方も多いかもしれません。そこで、今回は費用対効果の計算方法をわかりやすく解説していきます。

費用対効果とは?

費用対効果とは、読んで字のごとく「費用」に対する「効果」を意味します。主にマーケティングの分野において用いられている用語です。アイデアにかかる費用と、その導入によってもたらされる効果を比較し、本当に導入する意味があるのかを判別するために用いられます。

「費用」とみなされる要素は、産業によって異なります。ある商品にかかわる広告費用や、製造設備新設のための費用、システム導入費用などが代表的な「費用」です。

また、「効果」も産業や考え方によって異なります。単純に売上が上がるといったものだけでなく、作業効率が改善され人件費削減や生産性向上につながることや、商品・サービスおよび企業の認知度向上といったものも「効果」に当てはまります。

そのため、費用対効果には一定の計算方法はありません。各産業において、異なる費用対効果の考え方が必要となります。費用対効果を数値化するためには、まず何が「費用」となり、「効果」としてどういった結果が出るのかを明らかにしなければなりません。

以下からは例として、広告出稿と新システム導入という、それぞれのシチュエーション毎に、費用対効果の計算法を考えていきます。

シチュエーション1.
新しい広告出稿による費用対効果を割り出す

例として、新しい広告出稿による費用対効果の計算方法を考えてみましょう。

このケースにおける「費用」は広告自体にかける費用や期間、工数等が考えられます。シンプルに広告費だけを費用として考えるなら、「効果」は売上のアップ金額です。広告費に対して売上のアップ金額が大きければ、その広告を出稿する意味があるということになります。

単純ではない現実的な費用対効果

もちろん実際のケースはそれほど単純ではありません。「費用」には、上述したように広告費以外の要素も含まれます。また、どんな広告でも展開したばかりの段階ではコストでしかありませんので、「効果」が現れるまでは中長期的な期間を覚悟しなければなりません。加えて、出稿段階ではどんな「効果」も予想するよりほかありませんので、裏付けとなる過去のマーケティングデータ等も必要となるでしょう。

広告の目的を端的に述べるなら「モノ・サービスを買わせること」です。新しい広告のアイデアを提言するためには、「広告の出稿によって、どれだけ効率的に消費者を購買へと結び付けられるか」をアピールするといいでしょう。

もちろん、広告には“商品・サービスや、企業を認知させる”といった側面もあります。直接的な売上にはつながらなくても、商品・サービス・企業のブランディングに役立てば、今後のビジネスにも大いに貢献してくれるに違いありません。費用対効果を計算する際には、広告出稿費からこのブランディング分の費用を差し引いて計算していく場合もあります。

費用対効果の算出に用いる数値は、このポイントに着目して選んでください。

シチュエーション2.
新たなシステム導入による費用対効果を割り出す

続いては新しいシステム導入による費用対効果を考えていきます。

この場合、必要となるデバイスの購入費、マニュアルの費用が初期費用として考えられます。また、近年のクラウドサービスに代表されるシステムは初期登録費用や、月ごとの料金・サーバー費もランニングコストとしてかかってくるでしょう。運用にかかわる人件費も捨て置くことができません。

対する「効果」として考えられるのは、広告費のケースのように売上の増加だけではありません。ビジネスにおいては工数や時間もコストに含まれますので、業務の効率化も「効果」として考えることができます。予想される「効果」によって初期費用やランニングコストを回収できるなら、そのシステムを導入する価値は十分にあると言えるでしょう。

費用対効果はさまざまな切り口から考える

費用対効果で取り扱う「費用」と「効果」には、簡単に数値化できないものもあります。上述した業務効率などはその代表的な例です。こうした要素を「効果」として提示したい場合は、少し工夫をしてみましょう。

例えば、特定の業務にかかる時間をシステムの導入によって効率化できるなら、短くなった業務時間に従業員の時給を算出すると「効果」を数字にできます。上司への説得材料として費用対効果を提示する時には、このように数値化しづらい効果を可能な限り数値化し、具体的に示す取り組みが重要となります。

いかがでしょうか。上司の説得のために費用対効果を計算する際には、まずそのアイデアにおける「費用」と「効果」を見定めてください。上司から指摘を受けることのないように、あらゆる側面から「費用」となるポイントを考えることが重要です。また、アイデア導入前の段階ではあらゆる「効果」は予測でしかありませんので、説得力を持たせるための裏付けとなるデータは必須です。

費用対効果の計算は、単なる算数ではありません。いわば「リスクとリターンの数値化」が、費用対効果の計算における最初のタスクです。どれだけ熱意を持っているアイデアでも、十分な費用対効果が見込めない場合や、コスト回収にあまりに時間がかかりすぎてしまう場合には採用されることはありません。

逆に言うなら、アイデアの客観性を保つためにも費用対効果の考え方は必要です。今回お話したポイントに留意しながら、非の打ち所のない費用対効果を割り出してみましょう。